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ヒトトコロニー



例えば、目の前にリンゴが置かれていたとします。
貴方はリンゴについて説明をしなければいけません。

“それは、果物である”
“それは、赤い”
“それは、甘酸っぱくてみずみずしい”

説明をするための言葉は様々だと思いますが、
もし、その “説明” をする言葉を持ち合わせていなかったら?

WEST 2-B で武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科の4人による展示が始まりました。



日常生活に潜む何気ないつぶつぶに焦点をあてたのは山木あすかさん。
写真右に見える空にかかるつぶつぶはクモの巣にかかった雨の雫。


作品から出る柔らかい色合いが彼女の持つ雰囲気そのままでした。


こちらも “とあるつぶつぶ” のひとつ。
何だかわかりますか?

見れば見るほど素敵な作品です。



刺繍で制作されたこちらの作品は田中稜子さんのもの。
画像では確認し辛いので恐縮ですが、
ひとつの丸につきレースを巻き込むようにかがっています。

聞いたところによると、制作には2ヶ月を要したそうです。
計算された配色と、存在感で会場の奥で佇んでいます。



6点の絵画作品と1冊の冊子による物語で構成された作品を展示しているのは善祥乃さん。
このブログの冒頭の文章は彼女の作品から着想を得たものです。


わたしたちが “つぶつぶ” という言葉を持たないとすれば、
それを一体どういった風に感受し、受け止めれば良いのか?

そして、そのために作られた6編の小説に合わせた抽象的な絵。


そのひとつひとつが繊細で美しく、
ヒトトコロニーという展示タイトルの通りの物語が印象的です。 



カレンダーという媒体を通し “つぶつぶ” を表現したのは藤川真衣さん。
その見栄えたるや、ただカレンダーという言葉では説明するには陳腐です。

日にちの部分を小さな丸(つぶ)状に切り取り、
「365」という1年の日数を浮かび上がらせています。

小さなつぶも集まることで大きなものになるというメッセージが込められているよう。


“つぶつぶ” という表現はつぶ単体では出来得ない。
集合体になることで初めてその意味が生まれる。
日常に於いて、様々な事象に当て嵌めることが出来るのではないでしょうか。




“ヒトトコロニー”
7/28(日)までの展示となっております。


本当にオススメの展示会です。
是非ご覧下さい。


--- けんや ---