唐仁原理紗さんの個展です。
アクリル加工された写真が、窓パネルを取って部屋に取り入れられた日光に透けて、とても綺麗です。スペースに足を踏み入れると空気の精度がちょっと緻密になる、そんな印象を持ちました。
「 空気を みる 」とは、一部だけではなく全体を見ようとすること、一つ一つのことをきちんと感じる事。
シャッターを切るのはどういう時なんだろうと考えた時に、「中心に写っているものだけではなく、その背景にあるものや周りにあるもの、その時の空気、感情も大切なのでは」というところに辿り着き、写真を撮ることに限らず日常の中で空気(全体)を見る事、感覚を研ぎ澄ますことを大切にしていきたい、という思いでつけられたタイトルです。
今まで唐仁原さんの写真展を三度見てきましたが、今までポートレートが中心だったのに対して、今回はほとんどが風景、無機物。彼女の撮る風景は、何故かいつも艶かしい。「匂いまで感じられそう」、「触覚まで伝わってくる気がする」という感想も多く寄せられるように、視覚以外の五感を喚起するような写真だからでしょうか。
例えば張り付いたビニールの質感。
ラグの触り心地、机の足の木の触感、その上に投げかけられる陽射しと影、部屋の匂いや空気。手を伸ばしたら触れるんじゃないかとさえ思い、頭の中で条件反射的に触り心地を想像してしまいました。
夕方、傾いた陽射し。2、30分もすれば陽が暮れてしまうかもしれない部屋の中で、頼り無さげに佇むボーダーのシャツ。その一瞬に心を揺さぶられ、カメラを出してシャッターを切る。
彼女が何に心惹かれ、どんな思いでシャッターを押したのか、また多くの写真から何故この一枚を選んだのか、この写真展が完成するまでの過程を、一枚一枚逆に辿りたくなるような、そんな写真が沢山並んでいます。
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DF STAFF KOZUE
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