バナーエリア

このブログを検索

ao の『そとづら、かくれんぼ』


初展示とは思えない。
貫禄ある作品を展示して下さったのはaoさん。

WEST : 1-B 『そとづら、かくれんぼ』
同室で展示されていたhanakoさんに引き続きまして、
aoさんの作品をご紹介致します。


これら異形の生物達は全て、人体のパーツの集合体であります。

彼女は、人体のパーツを引き抜いて、組み替えたり
ときには、パーツの構造を書き換えたりして、
新たな生物を創造するマッドサイエンティストなのです。


妖怪が好きで人体に元々強い興味を抱いていたというaoさん。
今まで絵を描くことはほとんど経験しておらず、
所持している文献からの引用した資料を元手に、
新種の生命を生み出しています。

資料はスキャンされた後、
フォトショップとイラストレーターを介される。
ここが手術台です。


手術台にのせられた人体の節々は、
身勝手なサイエンティストの手によって、
構造を無視した結合を迫られます。
骨を削り取られたりもする。

個々の関節の曲がる方向、許容できる重量。
全て理論は彼方へ放り投げて。

あり得ない進化をデータの上で遂げていく。


手術のランプが消えて。
彼らは診察台を降り、向かう先は標本の中。

そこは、彼らが唯一生命を維持できる場所なのだと思う。
フレーム内部は何か不安定なもので満たされていて、
それを全身にまとっていないと彼らは死んでしまうんだ、って。


生まれて来て、そして見せ物になる運命なんでしょう。


先程も述べたように、
彼らは人間の人体が元になって出来ている。
そして、無理矢理成立させられた構造は、
「生きる」ことに向いていない。

植物状態のようだ。

とても悲しいことであるのに、
それなのに、美しいと思ってしまう。

私たち人間の中身。
肌をはぎとって、
その中にある骨と実の全て。


言葉にするならコラージュという言葉に収まってしまうのだけど、
作品の密度を目にしたら、その言葉を出しずらく感じてしまった。

コラージュらしくないのです、彫刻に近い。
デジタルツールでの編集がそこに該当する。

実際に触れることが叶わない彫刻。
直ぐに崩壊しそうだから、
綿のベッドに寝かせてあげたいね。

あ、でもそんなことしたら、
ミイラに見えてしまいそう。
--
皮をはいで、そこに隠れていた、かくれんぼ。
aoさんの展示でした。


(左:aoさん 右:hanakoさん)

aoさんは次回企画展「ぎりぎり展」にも参加して下さいます。
今後の展開がとても気になるお二人。
是非、チェックをば。

hanakoさんの記事はこちら

(ぱんだ)