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mizuho 『"スロウ"とそのすきま』


EAST : AP-8

"マイペース"という言葉は彼女のためにあるんじゃないかな。
mizuhoさんの絵画作品、4点がちょこんと佇んでいます。

絵となり空気となった
彼女のなりのスロウアートの解釈の形が、
音も立てずに、ずぶずぶと意識の深みに沈みます。


手作りの額は、以前制作されたものより厚みが増して、
塗装され、渋みも含んだその額は、
壁から一歩前に作品を掲げる。

彼女の絵は、徐々に、暖かみが増してきています。

僕がデザフェスで初めてお会いした頃、
肌寒い季節、まさに今の季節。

重ね着して、吹き込む風から身を守ろうと、
マフラーを巻く、その感覚だったのです。
寒い季節にこたつに入って、アイスを食べる。
経験ありませんか?その感覚だったのです。

今回の四点は、木製の小屋の中で暖炉にて暖をとっている。
外は寒いけど、今いるこの場所は、寒さにゆすられることなく、
安定した気温が充満している。


今回の四点は、暖かい小屋の中の住人たち。
身を縮めて、熱を逃がさない努力など必要ありません。
表面積を増やすことは、より体温を安定させることになるから。

寒さから逃れた彼らに対し、
僕が投げかける言葉。

「さて、何をしようか?」

多分、この部屋の中には十分な食料と水がある。
彼らに急ぎの予定など無いでしょう。
別に楽園じゃない。
ただ、ゆとりがあるというだけ。


でも、わかってるんです。
そんな言葉を投げかけたって、

「いいじゃないか。何もしなくても。」と男性
無言の衣服
くちばしを小刻みに揺らすトリ
あくびをする猫

彼らは生きることを急ぎはしないでしょう。

以前、聞いた瞬間から、ずっと忘れられない言葉。
「暇な人なんていないんだよ。」

日常生活ってのは実に忙しいのです。
知ってましたか、忙しいのです。

mizuhoさんの作品は、その忙しい日々の出来事の"すきま"にある
"スロウ"な時間を
どこまでも、どこまでも、引き延ばしてくれる。
優しい指先で。


展示期間は明日、土曜日までとなります。
作品四点とも販売しております。
既に一点売約済みですが、まだ間に合います。

どこであっても、彼女の作品は大の字に寝そべるよ。
彼女の作品の中で暮らしてみたいな。
羨ましいくらいに、自由なんです。


(ぱんだ)