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大山菜々子 『1month with you』

大山菜々子 『1month with you』

2021.8.20  -  2021.8.22

[ WEST 2-D ]

少年画や青年画を描いている大山菜々子さんの個展が開催いたしました。普段は日本画を描かれている大山さんですが、本展では新たな試みとしてドローイングと日記をメインとした展示となっています。

本展は、一人の男性と出会ってから別れるまでの日々を日記とドローイングで表現されており、部屋の入り口から時系列に作品が並んでいます。日記の期間は一ヶ月。一人の人間との出会いから別れまでの期間として考えると短い時間なのではないでしょうか。一体どのような二人の物語が綴られているのでしょう。

話は喫茶店で偶然出会うところから始まります。お互い相手のことを全く知らない状況。日記を読んでいると初対面の人と話をした時の緊張感や期待感が蘇ってきて、懐かしい気持ちになります。

二人が喫茶店で過ごした様子やお出かけした時の思い出を飾らず自然な言葉で綴られており、親近感を感じるとともに、情景描写を飲み物の色や流れている音楽(曲名や歌詞)でも表現されているので、世界観に色合いが生まれどんどんと引き込まれていきます。

一ヶ月間、毎日ドローイングを1枚ずつSNSに投稿されていたそうですが、日記をお披露目するのは本展示が初めてとのことです。今までSNSを観ていた方にとっては、日記を一緒に鑑賞できる特別感のある展示なのではないでしょうか。

実はこの展示には、一層リアルに感じる細かなこだわりが潜んでいます。ぜひ鑑賞しながら探してみてください!

1点のみ日本画作品が展示されており、今回の日記作品のメインビジュアルにあたる作品となっています。全て読み終えたあとに観ると、感慨深いものがあります。

本展示の作品集も販売されているのですが、少し変わった仕様で表裏が無くどちらの面からも観られるように作られています。これは、実際の世界は時間を遡ることはできませんが、形にしたものは振り返って見ることもできるという、時間の概念に捕らわれない点を作品集に取り入れています。

他にもポストカードなども販売されています。

展示を全て観終わると短編小説を読み終えた時の感覚になります。複雑な人間関係や行き場のない感情などが頭の中を駆け巡り、答えの出ない悩みの世界に取り残されます。

ぜひ、ゆっくりと鑑賞していただきたい展示です。


大山菜々子

https://twitter.com/nanako_oyama

https://www.instagram.com/nanako_oyama/

https://nanakooyama.base.shop/


<スペース詳細はこちら>

[ WEST 2-D ]


staff:Chi