明治学院大学 写真部
『明治学院大学 写真部 卒展』
2020.2.10-2020.2.16
at EAST 201 202
毎年恒例となっている明治学院大学写真部の卒展が始まりました。
4年生にとっては集大成、在校生にとっては今後への試金石となる作品展示の機会となります。
毎年行われる本展示は、卒業する4年生に在校生も参加する明治学院大学写真部の大規模な学外展の一つ。特定のテーマは設けずに各々自由に撮りたいものを出展するスタイルですが、節目となる展示とだけあってどれも気持ちの入った作品が並んでいます。
大人数が参加する展示といえど、丸一日掛けて最適なレイアウトを決めながら展示を構成しており、一つの展示としての見せ方まで考え抜かれています。
3年 市川 采《曖昧》
ほぼ同アングルで撮られた2カット。
ブレなのか解像度なのか、画面全体を通して「曖昧さ」に包まれています。
「現実にあるものをありのまま写し取る」のが写真というメディアの特性でもありますが、写真が写真たるアイデンティティをぼやかすことにより現実感が失われ、さらに連続性のある2枚の写真が並ぶことで、却って想像力を掻き立てられる作品です。
4年 相原 美月《forget me not》
続いては絵画のように美しい構図のポートレイト作品。
forget me notは勿忘草の英名で、画像では伝わりづらいですが、左目尻の少し先にその花びらのような青色のチャームがあしらわれています。勿忘草の花言葉は「私を忘れないで」。誰かの記憶に自分がとどまることを願うかのように、切なげな表情で自らフレームの中に収まることでそのメッセージを示唆しています。
4年 泉舘 壮一郎《I can't breathe》
上はサーモグラフィー、下はネガポジを反転したような画像のフォトコラージュ作品ですが、その素材はどれも普段ニュースを見る人にはなにかと馴染みのあるモチーフ。ぱっと見るだけでも戦闘機、テロリスト、EU国旗、国会議事堂に日米の首脳などなど。。
つい先月にも中東情勢をめぐる小競り合いを演じた米国の大統領の発言や、国会や予算委員会の様子を伝えるニュース、最後までこじれにこじれた英国のEU離脱問題など、まだ2020年になってひと月あまりというのに情報はいやが応にもなだれ込んで来ます。それこそまさに息つく暇もないくらいに。そんな状況が、画面に隙間なくモチーフが敷き詰められた画面から伝わってきます。
4年 町山 茜《null》
壁展示だけでなくブック作品もいくつか並んでいますが、その中から1作品。
ピンボケや露光不足、意図しない写り込みなど普通であれば「失敗」とされる写真を集めた作品です。こちらの一枚もがっつりと指が写り込んでしまっています。
軽快に撮れる写ルンですやコンパクトカメラでなどでは特にやってしまいがちではあるのですが、でもそういう写真こそ後から見返したときに愛おしさが込み上げて来たり。フィルム写真ではそんな失敗も失敗の記録としてちゃんと残るので、集めて一冊にしてみたらこんなに面白いんです。
当記事で取り上げさせて頂いた作品はほんの一部ですので、写真好きな人もそうでない人も、ぜひじっくりと会場にてご覧ください。2/16(日)まで開催中です。
明治学院大学写真部
【出展スペース:EAST 201 202】
DF STAFF isaka