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帝京大学写真部 『LAST SHOW』



帝京大学写真部
『LAST SHOW』
2018.2.28-2018.3.4
EAST 3F 全スペース

EAST3階のすべてのスペースをつかって大々的に行われている帝京大学写真部の展示の様子をご紹介します。タイトルは『LAST SHOW』。学生生活の集大成の卒展です。




301



301、302、303、304とすべてのスペースが写真作品で埋め尽くされているこの展示。
部屋ごとにデジタル写真、モノクロフィルム写真、カラーフィルム写真の作品が分かれて展示されています。デザインフェスタギャラリーで行われる写真展の中でも最大規模の展示です。


Yuri Miyazaki『孤独』

作品が多いだけでなく、もちろん一つひとつの作品の質も高い。

写真作品は写真集や写真展などで、連続性と関連性を表現することが多いメディアなので、一枚の絵として見せることってすごく難しいのですが、こちらは絵画のように美しい瞬間を見事に写真に収めていますね。

窓から差し込む光の具合も、壁紙も、使い古されたような木の椅子もとてもドラマチィック。たった1カットでもさまざまなストーリーを連想させる強度のある作品です。


302



302はすべての作品がモノクロ銀塩プリント。
それもバライタ紙を木製パネルで水張りするという、フィルム世代の写真学生ならきっと誰もが懐かしく思うだろう方法で展示がされています。わたしもギリギリその世代なのでこの部屋はすごく落ち着きます…。


Kentaro Hashimoto『Tokyo』

四季折々の東京を捉えた正統派のストリートスナップ作品。
左上から春、夏、左下から秋、冬の風景が収められています。

季節を写真で表現するのにもっともシンプルで手っ取り早いのは、その季節に見られる「色」を取り入れること。しかしこの作品ではそれをすべてモノクロで表現しています。

桜の下に人々が集う様子、夏の強い日差しがビルにリフレクトする様子、ハロウィンに浮き足立つ街、大雪のなか電車を待つ人たち。どれからもしっかりと季節を感じることができますね。

夏の写真は中央の花が逆光に照らされてシルエットのように見えますが、実物の写真を見てみるとちゃんと花びらのディテールが表現されています。逆光の写真の手焼きプリントってすごく難しいんですよ。きっとこの一枚のプリントが出来上がるまで相当試行錯誤したと思います。そんなところにも注目して作品を見てみてください。


Taiki Matsui『Midnight Shuffle』

もう一点モノクロの作品を紹介します。
部で撮影会を行った日に撮ったという写真。複数のネガを重ねてプリントされています。

パーフォレーションとコマ数とフィルム名が写り込んでいる感じがかっこいいですね。3カットが多重露光されていますが、どのカットもモノクロの写真らしく光と影を意識して捉えられています。

303



303のスペースはカラーフィルムによって撮影された作品が集められています。
こちらはフィルム写真の雰囲気に合うように、自然光を取り入れた空間作りがされています。


Rushia Moriya『そのまま』

やはり自然光のライティングが一番合いますね〜。

こちらは少しコンセプチュアルな作品。
一つひとつの写真としての完成度も高いですが、セレクトのバランスも見事で見せ方もとてもうまいと思いました。

女性のポートレイトの良い部分が最大限発揮されるような光の捉え方がされていて、とても繊細な作品です。

304



304はびっしりと写真で埋め尽くされています。

とにかくいろんな写真が無造作に貼ってあって、なんだか学生時代の写真部の部室を思い出しました。




写真部の日常がわかるプライベートな写真だったり誰かの作品だったり、特別なものではないけれどすごく感慨深く見てしまうのは歳をとってしまったからでしょうか。
純粋に写真を楽しんでるなーということがひしひしと感じられます。


とてもじゃなけれどすべての作品をここで紹介することは叶わないので、是非足を運んでみてください。各スペースにはお手製の図録があり、展示されている作品の作者のコメントを読むことができます。またブック作品もありますので、お時間に余裕を持って見てください。写真好きな方は特に。


【展示スペース:EAST 301】

written by isaka