岩下 友紀
『小石の観察』
2018.1.17-2018.1.21
at WEST 1-G
キャリアを通じて初めての個展となる岩下友紀さんの『小石の観察』。
理科の授業の一環のようにも思える展示タイトルですが、スペースには色とりどりの絵画作品が並んでいます。
スペースに入って見える風景はこんな感じ。
すぐ手前から色彩豊かな絵画作品が整然と並んでいます。
これらの作品のモチーフはすべて川辺などで収集した「小石」。
『小石の観察』とはまさに、一つ一つの小石を観察し、それをベースとして描かれた作品展なのです。
幼少期から小石を眺めては拾い集めるのが好きだったという岩下さん。
今回モチーフとなっている小石も、自然が作り出したとは思えないほど綺麗で繊細な色形をしたものばかり。それ自体でも美しいのに、岩下さんの感性、フィルターを通して描かれた作品たちはまた新たな命を吹き込まれたかのように輝いて見えます。
そもそもこの小石のシリーズを描く原点となった作品がこちら。
始まりは拾いものではなく頂きものの石だったそうで、この作品のモチーフとなっているのは石英です。
石英と言われてみればたしかにそう見えるものの、筆者の第一印象はどうしてか「暗い海に浮かぶ氷河」でした。
しかし筆者のこの印象も決して間違いではなかったようで。
岩下さんはひどく気持ちが沈んでいるときにこの作品を描いたそうで、「暗い海」に見えた部分もそのときの心情が顕あれているのだとか。それとは対照的に中心にそびえる石英の輝きは、そんな暗い気持ちの先にある未来を暗示しているようにも見えます。この作品には『まだ遠い春』というタイトルが付けられていました。
スペースの窓際には実際に主題として収集した小石が並べられています。
この写真もその一部。
これをよーく観察してみてください。
繊細な抽象画のようですが、実物を見ても分かる通り一部分をクローズアップして描かれています。
色や構図、切り取り方などの「フィルター」はその日その時の気分で決まるそうで、それが気持ちが落ち込んでいるとき、逆に高揚しているとき、あるいは暑い日や寒い日などさまざま。こちらの作品からは元の小石と比べると暖かさを感じますね。
観に来た際はぜひ、作品と小石の実物を観察してみてください。
展示は1/21(日)まで開催中です。
【出展スペース:WEST 1-G】
written by isaka