山野美容芸術短期大学 専攻科 芸術専攻 2年
李ギプム・佐藤江里子・崔榮煕・藤代和芳
『 MY BEAUTY 』
会期:2016.2.12 - 2016.2.14
会場:EAST : 101b
「MY BEAUTY アールヌーボー、アールデコから見つけた私たちの美」
というタイトルで学生それぞれが美容芸術を表現しました。
出展された四名の学生様は、
それぞれWIG ARTとPAINT ARTの2種を展示されています。
李ギプム LEE KI PPEUM
作家毎、ペインティングの手前にカットウィッグ/マネキンを配置。
既存のモデル(マネキン)をベースに彩り、変化を持たせることで、
自らの展示スペースの入口を飾る。
美容芸術の名に適切なレイアウトであると関心致しました。
李ギプムさんのWIG ARTは水底の景色を投影したかのような色彩。
閉じられた目蓋、落ち着きある表情は、
穏やかな水中を思わせる。
続いて李ギプムさんのPAINT ARTをご紹介。
本作品は計三枚のキャンバスが横並びで構成されています。
写真は中央部の一枚を撮影したもの。
先ほどご覧いただいたWIG ARTのテーマを引き継いで、
水の中が描かれています。
凛々しい表情の女性が目を見開いて、
が、ボディは植物に覆われている。
以前、水中って人間には死の世界である、なんて漫画を読みました。
空気/酸素が不足しているから。
しかし、彼女の表情を見ると、うまく環境に順応している。
それは「進化」かもしれない。
藤代和芳 FUJISHIRO TAKAYOSHI
頭部を取り巻くグリーンとレッドのツル又は
アメーバー状の装飾/ヘッドウェア。
自然に大地に溶けていく。
しかし、迷彩柄とは違い、
同じ大地に居ながらも、確かな存在感を持っている。
その存在感の源は生命の脈動である。
藤代さんのPAINT ARTがこちら。
エレキギターの音を変化させる機能を持つ
「エフェクター」を連結させた状態を俯瞰する構図。
藤代さんが用意されたステートメント上には、
「音」というキーワードが御座いました。
今、そこにあるものの状態は何も変わらないけど、
受け取るその瞬間に変化を持たせることはできる。
その為の手段が美容であったり、藝術であったりする。
モチーフの選び方が面白い。
藤代さんは他にも金属パーツを持ち寄って、
こんな作品も展示されていました。
写真は作品の一部分です。
個々のパーツが本来与えられていた役割を忘却し、
新たな役割を与えられて、今か今かと活躍の機会を伺っている。
どのように動作するのか、
どのような音を奏でるのか。
鑑賞していると、動きや変化を想像したくなる。
佐藤江里子 SATO ERIKO
自己に深く、深く沈むように目蓋を閉じる、
佐藤江里子さんのWIG ART
華やかな装飾を外側に置き、それを外殻とすると、
その内側、モデルの心情が核となる作品であるように思う。
同時に、核を想像させることが作品の目的であるかもしれない。
確かな物質性の元に再現されたイメージがWIG ARTだとすると、
PAINT ART はより理想を近づかんとした結果を表すものである。
白いドレスや添えられた花/コサージュをはじめ、
キャンバス上に存在するアイテムも全て理想を再現したものである。
最もその筆先が力強く表現したのは、彼女の目元、口元。
情報を、食物を、酸素を取り入れる目・口。
時に、意中の相手を射止める武器・魅力に変化する。
崔榮煕 CHOI YOUNG HEE
ジャングルに 生息する、色とりどり、
原色の皮膚や毛をまとった動物たちが、
彼女のWIG ARTに宿っていると思った。
レッドとグリーンのうねりに熱風を感じる、
力強い崔榮煕さんの作品。
女性の長い髪を見ると、
時の流れを想うのは私だけでしょうか?
男性よりも女性の方が髪の伸びる速度が速いとはいえ、
ここまで伸びるには、どれほどの時間をかけたのか。
執念とも言える、その意気込みは、
絵画に置き換えても健在。
毛根、根本から伸びた髪、その先まで、
貴方は続く。
大きくなる、時を留める。
それを維持する彼女の神経質な視線。
やはり、崇高なる執念だと思う。
会場の中央には四本の手の像が宙をさまよっていました。
察するに、四人の作家の手を象ったのでしょう。
美容も藝術も、イメージを形作るのは自らの手に他なりません。
遡れば手仕事であるということ。
正に美容と藝術を同時に学ぼうとする、
専攻科芸術専攻らしい展示会構成でした。
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