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伊藤久美 『伊藤久美わらべ絵展』


伊藤久美 『伊藤久美わらべ絵展』
2020.2.25-2020.2.27
[WEST 1-C]

煌びやかで、それでいて穏やかな金と、笑顔が溢れる人々の姿。
その中でも目を引くのが、今回のタイトルにもなっている「わらべ(童)」たちです。
まぁるくてころころとした顔と満面の笑みで戯れる彼らの姿は、まさに平和そのもの。
いつの時代も子供は純粋で神秘的で、愛おしい存在。
絵の中を自由に駆け回る童たちの世界を、ほんの少しご紹介いたします。


これまで世界各国で展示を行ってこられた伊藤さん。
そこに描かれているのは、日本の古き良き文化と、その時代時代の人々の暮らし。
中にはお伽話に登場する人物や妖精たちなど、ファンタジックな作品も。
日本画材とアクリル絵具を使用し生み出されるその色彩は、華やかでとても柔らかく、日本人に馴染み深い情緒を感じられます。




おもちゃで遊んだり、鬼ごっこをしたり、馬跳びをしたり。誰もが経験した子供時代と同様に、童たちも元気いっぱいに駆け回ります。
昨今は外で遊ぶ子供たちの姿もなかなか見る機会が少なくなってしまいましたが、
童たちが体を目一杯使ってはしゃぐ姿を見ていると、いつの時代になっても子供たちが楽しく遊ぶ姿は形を変えながらも絶えることはないのだろうなと考えさせられます。


こちらは伊藤さんが幼少期に夢中になったという物語の一幕。
笛を持った笛吹童子は伊藤さんにとって永遠のアイドルで、笛によって現れた妖精たちが戯れている姿はとても可愛らしく、まるで祝福の舞を踊っているのかのよう。


童たちがとても印象的ですが、美しい肖像も描かれています。
健康的で美しく描かれる男女の姿は、どことなくデフォルメされており、現在の日本のイラストレーション文化の系譜を感じられます。
会期中、作品を制作されながら在廊されている伊藤さんですが、その丁寧な筆運びを見ているだけで心が穏やかになっていきます。


そしてこちらが本展のメインビジュアルにもなっている新作《翔(かける)》。
大判の作品で、大きく描かれた龍が強いインパクトを残します。
そこでお友達のように龍と戯れ童たちが遊んでいる姿は、まるで子供たちの夢の中に飛び込んだような桃源郷の世界。
ファンタジーでありながら、嬉しいことや楽しいことに純粋だった少年少女時代を想起させ、胸がきゅっと締め付けられます。



伊藤さんが描き出す作品の登場人物は、よく見ると皆笑顔に溢れています。
曇った表情の人物は誰一人おらず、平凡で明るくて、その日常に愛おしさを覚えずにはいられません。
どんなことがあっても自分に素直に楽しいことをやり続けたい。
落ち込んだ時も、筆を持てば手が勝手に動いて描けてしまうという伊藤さん。
お話をしているだけで元気をもらえ、まるで伊藤さんの描く童のように純粋で無邪気な一面も。
そんな素敵なお人柄も合間って、とても優しくて温かい展示空間となっておりました。

本展は本日2/27(木)まで。

気持ちが落ち込んだ時、あなたの中にいる無邪気で優しい童がひょっこり顔を出すかもしれません。

<スペース詳細はこちら>

[WEST 1-C]

staff kome