バナーエリア

このブログを検索

女子美環境デザイン 『女子美 環境デザイン 2020年卒業制作展』


女子美環境デザイン
『女子美 環境デザイン 2020年卒業制作展』
2020.2.7-2020.2.9
[EAST 101/201/202/203]

女子美術大学 環境デザイン専攻の4年生による学外卒業制作展が開催中です。
人間の生活と密接に関わる地域や環境。
そこで機能する構造物は、人々の行動や生活の営みに大きく影響します。
実際に存在する土地や構造物の環境設計から、架空の空間設計まで、同大学での4年間の学びを終える女子大生たちの集大成がここに集結しました。


EAST 101スペースと、2階全スペースを使用した大規模展示の本展。
スペースには学生さんたちによって細かい作業で丁寧に作られた大型の立体模型がずらりと並びます。


現存している構造物の新しい提案も。
こちらは彼女たちが通っている女子美術大学を地域と繋げるという取り組み。
大学というと、オープンなようでやはりどこか閉鎖的な印象になってしまうこともしばしば。
こちらの作品では、地域の方々と大学生の繋がりをより意識した設計になっています。


こちらは鳥取砂丘にリゾートホテルを建設したら…という提案図。
日本海沿いに位置する鳥取砂丘は、砂漠と海が隣り合っており、まさにリゾート地のような特殊な地形です。
海沿いと砂地にホテルの部屋が点在しており、海verのコテージのようなゆったりとしたくつろぎの宿であることが見て取れます。


1点1点作品を見ていると、立体模型の精密さに目を奪われます。
少ししゃがんで作品をまじまじと鑑賞すると、建物の中の構図が緻密に再現されています。
環境をデザインするということは、より実現可能で人の行動がどのようなものになるかということが計算されていなければなりません。
試行錯誤してここまでたどり着いた、という学生さんたちの努力が細部にまで表れています。


環境デザインは構造物だけではありません。
こちらの作品では、汐留地下通路の照明の再計画が提案されていました。
人を動かす方法として、照明は視覚的に人に働きかけます。
ゆるやかな曲線を描く柱を並べ、間接照明を設置することで柔らかい幻想的な光を生み出し、人が思わず歩きたくなる通路に。


そしてこちらは架空の空間設計をされている学生さんも。
あらゆる事情で夜に親と過ごす時間がない子どもたちが、より創造的に自己を発見できる空間やコミュニティを形成するために設計されています。
「繭の中で未来の自分の姿を夢に見、大人になるのを待っているのだ」というキャプションの言葉通り、自己の「成長」を願う想いが込められています。


そして高校時代の部活動の日記を折り鶴にし、インスタレーション的に展示されている方も。
日々部活動に真剣に取り組み、汗と涙とたくさんの思い出が詰まった日記からは、青春時代の記憶が事細かに記されています。
努力は必ず報われる。鶴が飛び立つ先は明るい未来に向かっているというメッセージが感じ取れます。


そして203スペースでは光る立体作品も。
「建設中-体内に入るプラスチック-」と題された本作には、プラスチックの生産と消費が環境に及ぼす影響がこの立体の中に記されています。
便利で安易に生産され消費されていく最も身近な素材だからこそ、個人個人がその付き合い方を思考せねばなりません。
是非近くまで近づいてじっくりそのメッセージを読み取ってみてください。


どの作品もこの4年間の学びと学生さんそれぞれが考える問題や思考がしっかりと詰め込まれた秀作揃い。
もしかすると、数十年後、いや数年後にはなにかが実現のものになっているかもしれません。
身近であるからこそ、今一度生活と環境について考えるきっかけを与えてくれる卒業展示となっております。

本展は2/9(日)まで。

キャプションと立体模型、時間の許す限りじっくり鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

<スペース詳細はこちら>

[EAST 101]


[EAST 201]

staff kome