『卒展』
2019.2.26-2019.3.3
at EAST 201, 202
「卒展」と一言で言っても、変わらずに好きな写真を好きなように撮っている。
毎年この時期に行われる明治学院大学写真部による展示はそんな印象を勝手ながら持っています。
どこかに偏るでもなく、しっかりと一人ひとりの個性が際立つ『卒展』です。
EAST2階のフロアを使って、卒業生を中心に有志の部員が集って行われている今回の展示。搬入設置に丸一日以上の時間をかけ、展示構成が組まれています。
そのためか、例えばポートレートが連続したり、風景写真が連続したりといった偏りがなく、しっかりと自然な流れを汲んだレイアウトになっています。
これを書いていてふと気付いたのですが、毎年この展示の記事を書くようになって今回が4回目、つまり1回目から数えると当時の1年生が卒業生として参加しているのが今回の展示となります。
この作品は2016年当時、筆者が紹介記事内にて取り上げた鈴木希望さんの作品。偶然ではありますが、たまたま目を引いた作品が3年前と同一人物だったことに驚くとともに、時間の重みも感じますね。2016年の卒展の記事はこちら
3年前はショッキングピンクのベースに6枚の写真をレイアウトしていました。
卒業年となる今回は、ハーフカメラのように2枚1組となる写真を整然と並べています。
記憶を辿るスライドショーのようにリズムがあって、写真一つひとつもリアリティーがあります。少しお話を伺いましたが、見せ方は未だ試行錯誤している様子。もしかしたら期間中に変化があるかもしれません。
こちらも3年前の記事で取り上げた、飯嶋由里子さんの作品。
弊廊での展示では一貫してポートレイトを撮っていたように記憶していますが、当時のストレートなポートレイト作品から比較すると徐々に実存が遠のいていくような、曖昧で不安定な人物像を表現しています。1年生の時点で既に完成された感があったのですが、そこからさらに変化を遂げたように感じました。
3年生の前田拓也さんの作品。
壁に展示されている写真はブック作品からの抜粋なのですが、そのブック作品のボリュームや熱量がとにかくすごかったです。
写真家を志すようになったという自身の集大成的なブック作品は、すべて後輩を撮ったポートレイトで構成されています。1年を通して撮り続けた写真の中からセレクトされ、時系列はランダム。そのためか当事者でないこちらもなんだか記憶を掘り当てるような視点でパラパラとページをめくり、作品に没入してします。数も相当なものですが、決まり切った構図やクセがなく、その時々の空気で切り取られたような軽快さもあります。素晴らしい。
今年卒業される皆さんは今後も写真を続けるのでしょうか、毎年気になっているのですが、できれば続けて欲しい。卒業のその先も楽しみになるような、そんな卒展です。3/3(日)までの開催中。
明治学院大学写真部
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【出展スペース:EAST 201】
DF STAFF isaka