『自由な展示 緊張した空間』
早稲田大学絵画会
2018.9.20 - 2018.9.22
[EAST301]
早稲田大学絵画会二年生のみなさんによる恒例イベントである本展。今回掲げられた『自由な展示 緊張した空間』というタイトルからは、あえてテーマを設けない・されど緊張感の漂う空間を目指す姿勢が読み取れます。
今年はどのような作品が集っているのでしょうか。
「絵画会」と銘打ちながらも表現の幅にとらわれない意欲的な作家・作品を輩出する本サークル。今回の展示でも、スペース内に足を踏み入れると、絵画はもちろんミクストメディアや映像作品など、あらゆる媒体を扱う作品が目に飛び込んできました。
以下では、ほんの一部とはなりますが本展出展作品をご紹介させていただきます。
金廣裕吉「コンビニおれ」
切り取ったダンボール箱にコンビニでおなじみの商品たちを描いた本作。
繊細でやさしい筆致に対して描かれる品々は非常にジャンクです。作者が普段口にしている飲食物なのでしょうか。筆致のあたたかさとの魅力的なギャップには、まるで「作者自身」=「おれ」が浮かび上がって見えてくるような気さえしました。
山本晃「ヘラクレスとネメアの獅子」
山本晃さんはギリシア神話のワンシーンをデジタルで現代的に再現。
強調されたコントラストが個人的にゴヤの「我が子を喰らうサトゥルヌス」を彷彿しました。毛の流れで両者のパワーと迫力を表現し、炎の照り返しで二体の被写体を力強く象ります。
MuraSaki「Not Sad Rabbit」
黒く塗りつぶされた顔面と、それに反して明るく黄色いTシャツ、そして余白。
画面と被写体、さらには立体的な額縁との関係性を遊ぶように描かれた本作は独特の感性で見るものの目を惹きます。
たお「はまちゃんとばべちゃん」
ピンクの吐瀉物、カービイ、保冷剤、そして「はまちゃん」と「ばべちゃん」…。
既視感と私個人的なメタファーを織り交ぜたこちらの映像作品はたおさんによるもの。
どこかコミカルで果てしなく無意味。けれどもなんだか見入ってしまうし、なんだか「ひとの吐き気を応援する」という学生時代(の飲みの席)にあったような光景の追体験までさせられてしまう。そんな不思議な魅力を持つ映像作品です。
同作家による大きく展開された平面作品も必見。
ここまでご紹介したのはあくまでも一部。
他にもぜひ実物をご覧いただきたい作品が多数展示されています。
多岐にわたる作品を代々制作しつづける早稲田大学絵画会の活動に今後もどうぞご注目ください。
展示は明日が最終日です。どうぞお見逃しなく!
【展示スペース:EAST301】
staff satomi