『ニンゲンカイキ』
本多悠悟 漆原洸人
2018.6.2 - 2018.6.7
[WEST 1-F]
不思議な生命体、デザインフェスタギャラリーに現る!
WEST館1-Aのスペースにて現在開催中の二人展「ニンゲンカイキ」では、本多悠悟さんと漆原洸人さんによる見たこともないような彫刻作品が展示されています。
本多悠悟さんはコードを。漆原洸人さんは木々を。作品の素材として扱われるものは真っ向から異なれど、お二人の作品にはどこか共通した生命力を感じさせられます。
そんなお二人の作品がどのようなコンセプトに基づいて制作されているのか、お話を伺いました。
一部ではありますが出展作品の写真と併せてご紹介いたします。
本多悠悟
本多悠悟さんによる、不思議な躍動感や重厚感に溢れる彫刻作品たち。これらの作品がいったいなにでできているかわかりますでしょうか?
先述もしてしまいましたが、じつは、様々なコードを用いてつくられているのです。
遠目には怪獣にも似た一匹の生き物のように見えますが、近付いて目を凝らせばさらに、コード一本一本の断面もまた表情をもつ生き物のようであり、細々とした生命の集合がひとつの新たな生命体をつくり出しているようにも見えます。
生命体のようとはいえど、これらの彫刻には具体的なモチーフはありません。
もともとは演劇舞台における空間美術を学んでいらっしゃった本多悠悟さんは、作り出した架空の空間を目の当たりにするにつれ、ご自身の制作への原動力は、現実への退屈感や不満感から生じる現実逃避に似た衝動なのではないかと気がついたのだそうです。
外側はおなじようにみえても内側にはまったく異なる模様が存在したり、外側はまったくちがう色をしていても内側は案外おなじだったり、そんな、ご自身が生きる現実の多層性を思わせる素材としてコードを用いながら、空間美術に従事していたころとおなじように架空のモチーフを制作しつづけます。
現実への反抗のような衝動を極めて自覚的に扱い、素材と技術を駆使した非常に印象強い作品です。
漆原洸人
かねてよりエスキモーやアイヌ民族などの民族文化に関心を持っていらした漆原さん。アラスカへの旅の際、そういった文化は環境に影響を受けて形を成し生まれるのだと、空港に降り立ちその土地の空気に触れたと同時に悟ったのだそうです。
ニンゲンカイキ。展示の準備を重ねるごとにそのタイトルからはコンセプトが離れてしまったとお二人は語ってくださいましたが、人間という生命体の多層性や身体面かつ精神面双方における不確かさ、さらにはわたしたちが信じている「生命」とはなんであったのか。人間、そして生命への認識の根源についても再考させられる展示です。
洗練された彫刻作品の数々を、ぜひご高覧ください。展覧会は6/7(木)まで。
【出展作家】
・本多悠悟
武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科卒業
現在、東京藝術大学院先端芸術表現科在学中
・漆原洸人
武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科卒業
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