及川 智恵『個展「レンズたちのむこう側 in 東京」』
2018.1.12 - 2018.1.14
[WEST 1-D]
「好きな世界を生きたい。ないならいっそ創ればいい。」
今回DFギャラリーでは二度目の個展となる及川智恵さんによる作品展。
作り出される幻想的な作品は、写真を複数枚重ねることによって作り出されています。
並んだ作品の前に立って鑑賞し、複数の層の下に見えてくる世界はもしかすると歪んだものかもしれないけれど、それは及川さんが再構成した及川さんの目から見た真実です。
私たちのレンズ越しに及川さんの作品はどのように写るでしょうか。
今回の個展は去年開催された京都での個展の東京Ver.
会場は及川さんが一度展示経験のある弊廊を選んでくださいました。感謝。
規模は少々縮小とのことですが、さらに厳選された作品が所狭しと並べられていて見応えたっぷり。スペースをぐるりと見て回ると気がつくのですが、どの作品も及川さんの言葉、詩のような素敵なメッセージが添えられていて一つひとつの作品に感情移入して見ることができました。
一点一点手書きのメッセージをはじめ、額縁やマットの色合いなども作品に合わせて実によく考慮されており見ていて非常に心地良くなりました。
私の作品の素材は、すべて写真です。写真は「真実を写す」と書くけれど、それは「撮影者にとっての真実」でしかないと私は思っています。
「真実」がどうせ自分だけのものならば、いっそどこまでも自分好みの世界を生きていたい。私にとっての「真実」を写真に撮り、その写真を重ねあわせて、私好みの世界を新たに創り出す。それが、私のやっていることです。
多いものでは10もの写真の素材を組み合わせて制作しているそう。
ザラザラした砂や水中の泡などのテクスチャーが欲しいためだけに重ねることも。
基本的に重ねるプラスの作業が中心で削ったりすることはないとのこと。
《家族写真》
"家族とは別々の生き物が共に生きようと足掻くこと"
いつの間にか、たくさんのレンズ越しに暮らすようになりました。
22年前からかけ始めたメガネ。
8年前から使い始めた一眼レフカメラ。
5年前から使い始めたiPhone。
さらに、36年間使ってきた、乱視と近視の入った私の目。
そして、36年分の厚みを持つ、私の頭や心の中の色眼鏡。
知識とか経験とか思い込みとか妄想とか、いろいろなものが入り混じったそのレンズは、きっと牛乳瓶の底のような厚さになっていることでしょう。
こんなにもたくさんのレンズ越しに見る世界は、きっとあちこちが歪みだらけです。
でもすべては、私のレンズたちが生み出してくれた私だけの「真実」。
《Make up》
"美に限界なんてない 私はどこまでもきれいになれる"
こちらは個人的に気になった一枚。どこか女性の強さを感じる作品です。
大きなバラのシルエットの中に線の細い花びらがいくつも重なり合っていて動きのある作品。燃えるような色彩は内側に秘めた情熱を感じさせるかのよう。力強いメッセージが添えられているけれど、透明感を失わない写真の表現によってしなやかで女性的なイメージが感じられます。
《幸せな孤独》
"カーテンを閉めて 部屋の中でひとり、宝探しをする
きらきらひかる宝石が見えたら ひとりぼっちでも大丈夫な気がする
あなたの見ている景色も、きっと何かしらのレンズ越しにあります。
私のレンズたちのむこう側にある世界は、あなたのレンズ越しにはどんなふうに見えるのでしょうか。少しでも面白がってくれる人に出会えたら、とても嬉しいです。"
展示は1/14(Sun.)までとなります。
掲載した写真はほんの一部。続きは是非直接足を運んでみてくださいね。
ご来館お待ちしております。
プロフィール
<及川 智恵>
2009年、コンパクトデジカメを買い換えようと検討した結果、「お金を少し足せば買える」という理由でデジタル一眼レフを購入。
2012年、持ち歩きやすいカメラが欲しいと検討した結果、「アプリで加工ができて楽しそう」という理由でiPhoneを購入。
以降、写真を複数枚重ねた幻想的な作品を制作している。
2015年10月にデザインフェスタギャラリーで初の個展を開催。
2017年11月に京都で2度目の個展「レンズたちのむこう側」を開催し、今回は同個展の東京開催となる。
翻訳、執筆、マーケティング等にも携わる雑食系フリーランス。
Website:https://www.oikawachie.com/beyondthelenses/
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DESIGN FESTA GALLERY 原宿
Staff Jun