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後藤洋輔 / 清水帆菜 『2人展【Borderless】』



後藤洋輔 / 清水帆菜
『2人展【Borderless】』
2016.5.19 - 2016.5.22
SPACE : EAST 304

写真作品を手掛ける後藤洋輔さんと
写真&イラストを手掛ける清水帆菜さんの二人展。






フォトグラファー 後藤 洋輔さん

“しかし写真を通して過去をよく見ることによって、意識しなかった(あるいはされなかった)
現代社会や今私たちが生活している街、環境が見えるかもしれない”

後藤さんが展示されている写真は、
強弱はあれど今と社会をミックスした対象を捉えていると思う。
家を出て、外に出て、ピンボケたマンション、
ファッション、アクセサリー。
もっと言えば、髪型やメイクなども現代の美意識を間接的に表面化させている。




意識してもしなくても、
時代性を醸す存在からは逃れ難い、
それくらい多方面に行き届いている。

後藤さんの写真の特徴を申し上げるならば、
それら対象との距離感。

触れられるほどは近くないし、
米粒みたいに遠くはない。




対象が何者であるか、
対象が何をしているか、
そんな基本情報は取得できるくらいの距離である。

傍観よりちょっと近い。
意識的に行動を起こせば、触れられるから。

その可否の両方を選択できる距離、可能性がある。




環境は時代とともに、
誰かとともに、秒刻みよりも細かい単位で移り変わるけど、
それを処理し、納得するレベルに持っていくのは生物以外の何者でもない。

冷静に、この距離が、受け手としては心地良い。
押し付けてしまわないように、しかし視認できるように。
撮影者と被写体の関係性がうっすらと見えるくらいに。

併せて、
後藤さんのキュレーションもお楽しみ頂きたい。




清水帆菜さん

“光と線、作品を作る上で意識していく部分が違ってくる。
相反する特性が重なり合ったら面白がれる世界を作れるのだろうか
という好奇心からこのシリーズを作ろうと思った”

写真とイラストを駆使するシリーズ作品を展示されている清水さん。

上記写真はそのシリーズに属していないけど、
既に余白が像とそれ以外を切り離す印象がある。




正方形の型におさまった情景、
その形はインスタントカメラやインスタグラムを想う。
(どちらにもフランクなイメージを個人的に持っている)

写真というメディアが持つ情報量は、
原則、印画紙の大きさに留まるものである。
しかし、台紙の後ろ盾により広い面積を得た。

描画部を拝見するに、写真が先で、後に描画というプロセス。

植物を思わせるモチーフは、
写真に映る秋の田園から派生する賜物である。




先の作品は、捉えた情景から発想を得て制作されたと想像するが、
次の作品はちょっと違う。

景色をパズルのピースのように、切り離し、パーツ化し、
作品として定着させている。

景色が覗き見える線と記号は、
洒落たネックレクスにも見えなくもないが、
良く見ると景色を正面から捉えた写真であることがわかる。

錯覚は言い過ぎなのだけど、
景色のピースをくるっと回転させたみたいにも、
見えるし、そうやって鑑賞者の意識を程よくかき回す。




写真の手前に置かれたテーブル上では、
清水さんのドローイング作品の数々を展示・販売中。

手頃なカードサイズ、植物モチーフの顔が多数。
写真作品同様、支持体や印画紙のフォーマットの枠組みを、
前提として意識し制作されているのがわかる。

小さいけど、意欲的。


そんな 後藤洋輔さんと清水帆菜さんの二人展は
本日 5/22(SUN)が会期最終日です。

日差しの暖かい今、この時間に適した展示会でございます。
どうぞお出かけください。