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ミヤビナカムラ 『3285』



ミヤビナカムラ
『3285』
2016.3.29-2016.3.31
at WEST 2-E

カオティックな展示空間に自身の歴史を詰め込んだミヤビナカムラさんの個展『3285』。
一歩足を踏み入れたその瞬間から、その世界観に圧倒されます。






見てください、この混沌とした空間。
約2年間で描きためた無数の作品たちが、文字通りスペースを埋め尽くすように展示されています。




部屋に入り右側からキャリアを辿るように時系列に作品を並べていて、
こちらは初期の作品。
順々に写真で紹介するので、その変遷が分かるはず。




始めのころは感情をぶつけるように、内面を表現していたというミヤビナカムラさん。
どす黒くうごめく意識に形を与えたかのような内面世界を描いています。




ここまでは初期作品。
個々から徐々に、現在の作風に至る作品が見えてきます。




スペースを横切るように展示された過去のライブペイント作品には、累々と無数の人物がひしめき合っています。
彼女の現在地を語る上で、名刺代わりともなる大作。




「イラストという位置づけよりも、平面構成という感覚で描いた」というこの作品。
まず目に飛び込んでくるのは複雑に絡み、ゆがんだ無数の人物。
そしてよく目を凝らしてみると「男」、「女」、「死」など、文字が溶け込んでいます。




「可愛い目をした女の子は自分でなくても誰かが描いている」。

ミヤビナカムラさんは、女の子を描くときはいつも「ジト目」を使い、それが彼女の作品の一つの特徴とも言えます。

だけど、この作品では実験的に、いわゆる「可愛い目」を様々な表情で描いている。


現在の彼女は観る者のニーズやマーチャンタイズを意識した作品にもトライ中。
展示ではその一端を垣間見ることができます。




一言に「ジト目」といっても説明は難しいけれど、きっとこの作品を見ればそれがなんなのか、感覚で分かる。

「感情が見えない」、「何を考えているんだろう」。目ですべてを語らせるのではなく、そんなモチーフへの興味を生み出すことにより、目を惹きつけて離さない。ミヤビナカムラさんの描く女の子にはそんな印象があります。



個々の作品を見せるというよりも、一つの空間で自己を表現することを意識したという今回の展示。

作品で覆い尽くされた空間で、全身で浴びるようにその世界を堪能できる濃密な展示でした。


http://miyabi-nakamura.tumblr.com/




【使用スペース:WEST 2-E】
DF STAFF isaka