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増野光晴(いけばな雪舟流) 『増野光晴いけばな展『Noel rouge et noir -あかとくろのクリスマス-』』


増野光晴(いけばな雪舟流)
『増野光晴いけばな展『Noel rouge et noir -あかとくろのクリスマス-』』
 2015.12.25 - 2015.12.27 at WEST 1-C

今年のクリスマスは終わってしまいましたが、ギャラリーにはクリスマスを彩る素敵な生け花作品が今日まで展示されています。
赤と黒を基調にクリスマスを表現したいけばな雪舟流・増野光晴さんの4つの作品をご覧ください。


1931年に創始した雪舟流の三代目として多方面で精力的に活動している増野光晴さん。
今回の展示のテーマはずばり『クリスマス』ということで、赤と黒の生花を大胆にアレンジした作品が並びました。



こちらの2つは対をなす一つの作品。
時には展示棚に、時にはの持つ置きにもなる1-C特有のスペースをうまく利用しています。

線で繋がれた球体が空間に浮かんでいるように見え、傍らにはそれぞれ黒、赤のアンスリウムが飾られています。



球体はクリスマスツリーなどに多用される円形のオーナメントを表現。
クリスマスによく見かける飾り付けのイメージを解体し、個々の素材をこの空間にバラバラに構築したかのような作品です。





その隣にもうひとつ、独特の凹みスペースを利用した作品が並びます。
こちらはクリスマスリースにもよく使われるという珊瑚水木の木々のみを組み上げて制作した作品。

リースのように丸い形をした珊瑚水木の枝が幾重にも積み重なり、ひとつの1本の樹の形を成しています。




展示会場でもっとも存在感を放っているのがこちらの作品。
赤と黒の枝木が複雑に絡み合い、アクセントにはグロリオサが鮮やかに彩りを添えています。





黒色をした枝は石化柳という柳の木を黒く塗りつぶしたもの。
平べったい形をした枝が天を目指して昇っている様はトナカイの角のようでもあります。





生け花作品というとなん十種類もある色とりどりの花や木々や実が組合わさってできているものを想像しがちですが、増野さんはシンプルに必要な素材だけ使いつつも、大胆に組み合わせて視覚的にもダイナミックな作品ばかりです。

生け花作品は絵画や写真作品のように出来上った作品を持ち込んで会場に設置するのではなく、素材となる生花を会場に持ち込み、展示会場で作品を作り上げるというのが一般的。
植物というある意味生きた素材を扱うということもあって当初思い描いていたイメージと違うものが出来上ることもあるそうですが、「そこが生け花の面白いところなんです」と増野さんは教えてくれました。


今回の作品群もすべて会場に搬入をしてから制作に取りかかり、4時間で完成させたとのこと。にもかかわらずすべての作品が緻密に構成されていて、その技術と表現力に圧倒されてしまいました。

本日までの展示ですが、素晴らしき生け花の世界を堪能しにきてみてはいかがでしょうか。

いけばな美術家 増野 光晴


【出展スペース:WEST 1-C】

DF STAFF isaka