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女子美術大学短期大学部テキスタイル24年度専攻科生 『みんなおひさしぶり展』 [4/25-4/27]

24年度に女子美術大学短期大学部創造デザインコース(テキスタイル)の専攻科を卒業したメンバー10人が、集まって展示をしています。

この年に卒業した10人が全員集まっているそうです!

テーマは「灰色」と「ピンク」という二色。
それ以外はまったく自由に制作しています。

亀下渚『桜』
動物を描いていて、最近は狼を描き続けているという亀下さんの作品です。
面相筆で布に細かく描かれた狼と桜が、幽玄さを纏っています。

 松浦桃子『織桃』
左のシャツは松浦さんが織って、裁断し、縫製まで行ったものです。右は参考にしたシャツ。
自分の織った布で洋服を作るのは今回初めてですが、作ってみたいものがたくさんあるとおっしゃっていました!

黒澤美帆『爽』
こちらも、布に描かれた作品。
目の粗い布に繊細な線で描かれた、憂いのある表情。
粗さと繊細さのギャップも面白い作品です。

中村瑞恵『荒野』
「灰色」は中村さんにとって、曖昧さや可能性を含んでいる色。『秘密の花園』に出て来る荒野のように、冬は灰色で春は色とりどりになる可能性を秘めた色。白にも黒にも、別の色にも変われる曖昧な色。
シルクスクリーンで丁寧に作られている作品です。

山本瞳美『少女をつくる』
沢山の少女の山の上に、大きな一人の少女が君臨しています。
一度見たら忘れられない画風にいつも圧倒されます。
また、ぶれない安定感にもほっとさせられます。

畠瀬菜々『宝石』
畠瀬さんがこだわるのは、きらめき。
石が最も輝く状態である「宝石」をモチーフにずっと制作を続けています。
今回もシルクスクリーンの版を重ねて輝きを表現。
本人にとっても満足な出来だそうです!!

小椋美咲『蜃気楼のまち』
織りで表現した「蜃気楼のまち」
蜃気楼のなかでそっと垣間見える不思議な風景なのでしょうか。
鮮やかな色で表された線や四角が小気味良い作品。

水谷夢宜『爛熟』
光沢のある様々な桃色が、タワーのようにうねる立体作品。
熟して、熟して、熟し切って、今が頂点!
曲線にエロティシズムさえ感じます。

長谷川真里絵『ふたしかなもの』
「つまみ細工」という手法で作られた作品。
布の染めも美しいです。
形は具体的ですが、タイトルは「ふたしかなもの」
在廊されておらず、作品意図が聞けなかったのが残念です。

藤嶋恵『温もりと静物』
灰色から藤嶋さんが連想したのは、例えばずっと持っていたぬいぐるみなど、使い込んだものや古いもの。
かぎ編みで表現されたオブジェからは、親しんだぬいぐるみのような、あたたかみが感じられます。
写真はほんの一部ですが、見る角度によって表情が変わる、興味深い作品でした。

卒業して二年の10人全員が集まって一点ずつ展示しているという事実それだけで、とても意義深いように感じました。
制作をコンスタントに続けている人も、時々という人も居たかと思いますが、それぞれの「今」を出せたのではないでしょうか。
全然作風が違うのに、共通のテーマがあるので妙にまとまりが良かったです。
また、どの方に聞いても自分の作品だけではなく、仲間の作品に関してもきちんと説明してくださりました。
その態度から、自分の作るものに愛着や自身を持っていること、自己分析をきちんと行っていること、それから展示している仲間の絆を感じました。

102という道路に面したスペースで、人が不意に入って来る様子、その来場者を温かく迎え入れる作家たちの様子も、展示の印象の一つとなりました。


■今回ご出展いただいたスペースはEAST 102です。



DF STAFF KOZUE