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アカサカナツキ/ツノダサクラコ 『けむだし横町』



桑沢デザイン研究所 ビジュアルデザイン専攻
アカサカナツキさん、ツノダサクラコさん
二作家によるグループ展『けむだし横町』
WEST : 1-B にて開催中です!!






三本の「煙出し」がそびえる廃工場。
ここでは人から忘れ去られたものたちが
人の真似事をして暮らしています。
そんな世界をテーマにした二人の同志によるイラスト展です。
-コンセプト文より-

お二人が描くのは、
経験したことも、見たこともないのに、
懐かしく、焦がれる街並が描かれた絵画作品。

過去の出来事かもしれないし、
未来のできごとかもしれない、
そんな二人の作品をご覧下さい。


「町の映画館は今日もにぎわっています。」
アカサカナツキ


私、トタン、好きなんです。
実家の群馬に住んでいた頃は、そこら中で見かけており、
今ではちょっと懐かしくさえあります。
特徴的なシルエット、また打ち込まれた釘が錆び付いて、
商品宣伝のポスターなんかも褪せていたり。
丁寧に描き込まれたパーツ一つ一つが町の雰囲気を醸すことでしょう。

子供の頃通っていたけど、もう潰れてしまった、
哀愁漂う映画館のことを思い出しました。


「一つ一つ手作りの傘はけむだし土産の定番です。」
アカサカナツキ


足を乗せればぎしぎし鳴るような階段に腰掛けている彼が、
鮮やかな傘を作る職人でしょうか。
人間ではなく、からくり仕掛けにも見える彼は、
来る日もただただ傘を作り続けているのでしょう。

そんな彼だから。
色の違いが彼の感情に起伏をもたらすとは思えないけど、
傘を見た者たちの感情は時代がかわったって、
揺さぶられるはず。


「本から抜け出した客人に、店長も手を焼いています。」
アカサカナツキ


以前、下北沢で見かけたなぁ、こんな本屋さん。
「夏文庫/新刊」というポスターを掲げた自動販売機では、
どうも文庫本を販売している様子、こ、これは良い!
立ち読みで内容をチェックせずとも買ってしまうかもしれない。

さて、赤いパーカーの少年が本から抜け出した客人かな。
本の形をした上着を来た、不思議な生き物が店主かな。
こんなところから物語を推理することができる、
それはとてもとても心地良い想像。


「町の中心では電車が走っています。」
ツノダサクラコ


京都旅行、路面電車に乗ってめっちゃワクワクしたことを思い出しました。
こんな所、電車が通っていいの?とか。

この世界では、皆暗がりでは提灯を持ち歩くのかな。
そんな姿も含めて、町全体がワクワクしているようだ。


「子ども達の遊び場に紙芝居屋さんがやってきました。」
ツノダサクラコ


漫画「こち亀」で知った紙芝居屋さん。
お菓子をその場で子供達に売り、
子供達はそれを食べながら紙芝居を楽しむ。

紙芝居というメディアの登場が懐かしいトリガーを引っ張るけど、
見知らぬおじさんと子供達の触れ合い、
その距離感こそが、今に無いものであると、
思い込んでいるからこそ、かもしれない。

子供達、必至に背伸びして、興味津々。


「町のすみにある居酒屋ではまた従業員がいなくなりました。」
ツノダサクラコ


タイトルだけ見れば、恐怖、ホラーテイストな一枚なのだけど、
作品自体はそうとも言えない。
目を大きく見開いた少年は、
足下に散乱する食器に目を奪われている様子。

だけど一瞬考えて。
少年の瞳はいつだってこれくらい目を見開いている、
そう考えたら「あぁ、またいなくなったのか」
って彼の声が聞こえた。
ここではそれが日常。

ここは、三本の「煙出し」がそびえる廃工場。
『けむだし横町』
町の様子はブログでは全てご紹介しきれません。
どうぞ、ギャラリーへ、けむだし横町へお越し下さい。


アカサカナツキ/ツノダサクラコ 
『けむだし横町』
会期:2015.3.29 - 2015.3.31