『Tenostep』
2015.2.24 - 2015.3.1
EAST 302
- 以下コンセプト文 -
2010年東北芸術工科大学 工芸・テキスタイルコースで出会った9人。進学・就職などで異なる地に散らばりながらも、ものづくりを続けていきたいというきもちで集まりました。 「ものを生み出す『手』が、次なるステップへ向かう力になる」という意味で、この展示を「テノステップ」と名付けました。 わたしたちテノステップのはじめての展示を東京で行います。
【参加メンバー】
石川遥 / 大滝葵 / 桑原仁美 / 高妻留美子/ 菅原咲
藤原美咲 / 堀瑞希 / 吉田紗央理 / 和地耕平
銘々同じ学び舎で学んだ仲間たちの、個性豊かな展示会です。
東北芸術工科大学の方々による出展は初めてのことで、そのレベルの高さに驚かされました。
メンバー全員をご紹介とはいきませんが、少しだけご紹介します。
東北地方に根付いた文化、風習を現代のデザインに落とし込む作品が目を引きます。
藤原美咲さんの作られた本もとても興味深い内容です。
ビジュアルもひとつ抜きん出たセンスを感じさせる仕上がりですが、
ニュースで流れる「犯人」を、ひどい、冷酷な、心ない、と非難することは簡単ですが、犯人が犯行するに至った経緯を忘れてはいけない。そこには何かしら人としての感情の動きがあるはずである。
私たちはそのままニュースキャスターの言葉を鵜呑みにしていていいのだろうか?
これはひとつの例ですが、
この作品はフィクションであり、現実であると言う。
一度本を開くと気になって止まらなくなってしまいます。
こちらの写真作品群も特に気になったもののひとつ。
桑原仁美さんによるものです。
「レモン爆弾」
写真の一部に黒丸(●)を配置します。
この●は爆弾であり、名称はレモン爆弾とします。
そして、爆発したその後の世界を想像して爽快感を得る。
実際には爆発するはずもないこのレモン爆弾ですが、
頭の中では爆発後の世界が想像出来ます。
人生に於いて本当に必要なのは「ポシティブさ」ではなく、ひとつのレモンなのだと。
突飛なことを言っていると思えばそれまでですが、
作品のこの●を見ていると、少し不安な気持ちになってくるのはぼくだけでしょうか。
あれが爆弾だとしたら、どうなるのか。
桑原さんが爽快感を得るのはこの位置をご自身で決定したからではないでしょうか。
自己と他者で、作品を見る視点が変わってくるのかもしれません。
通常、アウトドア用品と言えば軽さ、強度、携帯性が主に重要な要素になってきますが、和地耕平さんはそういった固定観念から一歩足を踏み出したプロダクトを提案。
登山にせよキャンプにせよ、アウトドアを楽しむ人は「こだわり」を持っている人が多い。自宅という安息の場を持ちながら、(捻くれた言い方をすると)不便な場へと赴くわけですから、そこには何かしら意図があるはずです。
自然の中へ飛び込む行為そのものに魅力を感じる人も居れば、そこで目にする光景に魅力を感じる人も居るでしょう。
そんな、ちょっと特別な趣味を更に楽しむためのツールは、機能性を重視していなくてもいいのではないか?というのが和地さんの考えだそうです。
機能性を補うだけのデザイン性とユーモアを見出せるモノであれば、趣味家たちを頷かせることが出来るのかもしれません。
火のついた薪を入れ、熱燗などを作ることが出来る酒器。
これを大自然の中でまったりと楽しめるなら贅沢な時間ですね。
その他多くの魅力的な作品が並びます。
展示会は明日(2/28迄)、お時間のある方は是非足をお運び下さい。