東洋大学Ⅰ部写真研究会
有志八名による合同写真展
" Impress "
EAST : 201 にて開催中
山田翔太さん 「flatness」 |
「撮影を繰り返していくうちに立体が平面に成り下がる様がみえてきた 」
温度や質感を持っていたはずの風景を
平坦な印画紙に落とし込む作業。
もう触れても、人工物の冷たさも凹凸もわからない。
前後関係は示されていても、それが正解かもわからない。
山川遼介さん 「ennui」 |
「歩くと色々なものが目に留まる。」
目に触れるもの全てを意識して歩くには、
情報量があり過ぎる。
だから生き易いように、自然と省いている私達。
ゆっくりと歩けば、それと触れる時間は増えるし、
強く意識しなくたって、考える生き物です。
竹田 鏡さん 「消えたイルミネーション」 |
「2011年3月11日の大震災以来に見られなくなったもののひとつに、
個人の家のイルミネーションがあると思う。」
街の中で見かけたイルミネーションを写した写真作品。
今作ではイルミネーションを通じて、日本人の民族性について語っている。
照明に関していえば、昨年十二月に神戸方面で行われた照明のイベントで、
装飾の電球をLEDから白熱に変えたことで話題になったことを思い出す。
田辺 知之さん 「旅の時間」 |
どこへ旅立ったときの記録だろうか。
具体的な地名は明記されておらず、
焼き付けられた情報が全てである。
ただ、展示されている全ての写真は、
旅らしさが詰まっている。
日常から外れた場所に立っていたからこそ、
シャッターを切れたんだろうな、と思う瞬間が。
堀 風花さん 「be」 |
恐らく、家族写真なのだろうと思う。
そして、幸せそうに写る家族の姿を見て、
自分は同じ様に、家族と共に笑っている写真を
久しく撮ったり、撮られていないなと思った。
堀さんは計四作品を展示されていますが、
内一枚に家族が誰も写っていない観光スポットの写真を
セレクトする感覚、とても好きです。
那須野 永莉さん 「縫合のあと」 |
「何のドラマもない痕跡を縫合して関係を確認する
傷ひとつない縫合のあとをなぞって涙が出たと勘違いしている」
写真中央に写っている作品が個人的には一番気に入っている。
ブラウン管に映るニュース番組が、
ガラス面を経て私たちに伝えようとするのは
ドラマ化した事実とでも言いましょうか。
誰か見ているとも、聞いているとも知らずに、
流れ続けるニュースは、私たちの生活の中で鳴り続け、
勝手に伝えた気になっている。
土屋 慶祐さん 「静寂(しじま)」 |
写真の中に訪れた静寂。
写真は音を再現できないけど、
私たちが写真を通じて音が聞こえたとしたら、
聞こえる と感じたら、
それは写真の中に静寂を見つけた瞬間。
東野 雄介さん 「漂流者」 |
「漂流者」というキーワードを眺めて、
「島流し」をまず考えた。
しかし、そんな大袈裟なイベントを経験せずとも、
現代には、様々な種類の漂流者が居るのだなと思った。
荒廃した土地でも、高級家具に囲まれたマンションでも、
漂い、流され辿り着いた結果ならば、
私もあなたも漂流者として括られ得るのだと。
時には抗おうと。
『Impress』
会期:2015.2.6 - 2015.2.10
(ぱんだ)