夜明けのロマンス



「 たぶんすこしセンチメンタルな、女の子のイラスト展。」

ユーミ、村長、ヨシダモモカ

三人の作家が描く、
夜明けのロマンス。

十月の朝のように、
私達の肌を突く。




作家毎に数点の作品をご紹介致します。



ユーミさん


センチメンタル、佇む少女たちを眺め、
氷のようだなと思った。

角が立っている氷を口に放り込んで、しばらく待って。

熱で角が取れた状態のように。
程よく突き放し、クールで、愛らしい。

色がのったイラスト作品に登場する少女たちは、
皆、頬を染めている。

それは風船のように膨らんだ、
秘め事かも。




今展示会において、ユーミさんは三点の版画作品を展示。

大変、緻密に彫り込まれた「記憶」シリーズの中から
1作品をご紹介します。




日常、私たちは沢山の物に囲まれていることを知っていて。
それらの情報量の多さを無視することで、スムーズに
生きようとしている気がする。

ゲームセンターはターゲットが若者なだけあって、
目がチカチカするような色彩に溢れている場所である。
色が削ぎ落とされて、無数の線に置き換えられた作品内において、
その情報量は相変わらず。

筐体に耳をすませる行為は、稼働音を拾うはず。
しかし、彼女は筐体をアンテナにして、
周囲で巻き起こる様々な事柄を拾おうとしているようで。

また、流れるお菓子を眺めるようで。




村長さん


まず最初にご紹介する作品は、
今展示会のDMにも起用された一枚。

ショートヘアーにショートパンツ。
その装いだけでも彼女の内面が伺える。

二色のリボンのようなものが空間にぽっかり穴を開け、
その奥で、多くの鳥たちが出番を待っている。

左指の形が、
次の展開を物語る。




ぶくぶくと、水中に漂う少女と海月
周囲は桜色のモヤに囲まれている。

涼しげなイメージを暫く眺めていると、
どくどく、気泡が赤血球のようにも思えてきたぞ。

自らの外側にある海と
自らの内側にある血液

内と外が混じり、
危なげでファンタジー。




もう一作品、村長さんの作品をご紹介。

穏やかな空模様を食パン片手に眺める少年、
瓶詰めになり自らの行方を見守る少女、
二つに挟まれ航海を続けるクジラ。

クジラは互いを隔てる存在である。

瓶詰め少女はどこへ至るのか、
または至らぬまま沈むのか。

実は大変シリアスな状況なのだけど、
その表情は向こう側、行方知れず。

瓶の上に佇むカモメが、
この物語の舵取り役であることを期待したい。




ヨシダモモカさん


前傾姿勢、うつむき加減、伏し目で、
斜め下へと歩んで行くんだろう。

毎日の出来事は記憶として一つの頭に集約されて、
どろんどろんになった感情として吐き出される。
それは事実ではなく、感想。

考える私達は、
事実ではなく、自身を取り巻く感情に左右されて、
あっちに行ったり、こっちに行ったりして、生きて行く。

「歩み」「漂い」「佇む」
少女の一連の動作が、三点の連作として展示されている。
※是非、三作一緒にご覧下さい。




過去、何度もDFGにて出展して下さっているヨシダモモカさん
以前と比較して、少女たちは大人びた印象を受ける。

キャンバスの上には明確に描かれてはいないけど、
彼女の瞳は、
確かな何かの存在を認めている。

その存在へ一歩踏み込んで、
飲み込み、体内におさめる度量が付いたようだ。




ここではご紹介しませんが、
ヨシダモモカさんはキャンバス、コーヒーフィルター、
正方形の額、青い額、スケッチブックなど。

支持体を変えて、それぞれ数点でグルーピングして、
限られた空間の中より複数の展開を見せている。

最後に取り上げるのは三枚のコーヒーフィルター。
彼女たちの物語りを通過したら、
一体、どんな味がするのか。

もし試しても、
語り終えたフィルターは捨てずに。



ユーミ/村長/ヨシダモモカ 
『夜明けのロマンス』 
会期:2014.9.20 - 2014.9.23
WEST : 1-D

(ぱんだ)