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ポイズンぽい


SASAKI KOZUE(中央)
FUJISAWA MIZUKI(右)
WATANABE SAKURA(左)

2014年3月
グラフィックデザインを専攻する同級生三人組が、
制作に追いつめられていると「ポニーテールとメガネ」になる
...ということから「ポニーテールとメガネ」という展示会を開いた。
そして、半年後...、彼女達は帰ってきました。
一人は大学院生、二人は社会人として。

始まる展示会の名前は
「 ポインズンぽい 」





こちらは展示会用DM
お気づきになりましたか?
1枚目にご紹介した写真では
「ぽ」の表情をして頂きました。

さてさて、そんなことはさておき。
作品紹介に参ります。




FUJISAWA MIZUKI
「 AFTER 」

壁一面を使用した作品。
複数のグラフィックが壁に刷り込まれているようにも見える。

「ポイズンを摂取した後」
というのが作品のイメージであるとのこと。





制作されたグラフィックは、
記号化された情報の複合体。

現実味のあるパーツを用いて、
制御の効かない向こう側を望む。

それは、フロイトの夢判断ではないけど、
言葉にならない想いへの手がかりのようだ。




 AFTER、名声/有名という意の言葉が、
気味の悪い溜まりの中へ沈もうとしている。

溜まりの成分は、毒物や劇物の併せ技にも見えて、
沈むと同時に、溶け出す可能性も、あるかもしれない。

沈む言葉の外見を語ろう。

言葉は奥行きと影を持ちて、
言葉は現実味を増している。

壁面に飾られた作品の中でも、
最も現実に近い位置に存在している。

どうか、沈む事無く、浮き続けていて欲しい。




SASAKI KOZUE
ミュージック・チュードック
「RAMONES」


音楽/バンドをモチーフにした作品を数多く展示。
こちらはアメリカのバンド、RAMONS

見れば見る程、不思議なタッチで描かれている。
制作の手法は手描きの線画をPCに取り込み、
PC上で加筆、その後、出力との過程を経ている。

アナログとデジタルを一緒くたにすることで、
それらの境界線を溶かした。

その制作手法は、偶然を多分に含んだ情報の数々を、
私達の目に見えないレベルでもコントロールしている。

私達の精神状態を揺らがせてくれる、音楽/音の集合体を
ライブで体感することとCDで視聴することの違いにも
グラフィックの観点から言及し得る。




SASAKI KOZUE
「ポイポイ人類」


日本のバンド、たまが作品タイトルにもかかる今作。
計17枚のパネル張りになったグラフィックで構成される。

見た目でもぐんにょりしているキャラクターの数々は、
最近やアメーバを思わせる。

恐らく彼らは、顕微鏡でやっと視認できるレベルの大きさであろう。
そんな小さい彼らが力を合わせて、
生物を生かし、殺したりもする。

ポイポイ という語感は、
そんな大事も些細な事であると言いたそうである。




WATANABE SAKURA

切り絵、写真作品を展示するWATANABE SAKURAさん
展示会テーマに、女性の内面を反映させた作品を制作されました。

作品タイトルはこの通り
「夢見がち」
「猫かぶり」
「物欲」
「うしろむき」
etc




WATANABE SAKURA
「しらゆき」

ぽいずんぽい というテーマから連想して、
ちょっと安直かな?なんてご本人は仰ってましたが。
やはり「毒×女性」を語るにあたり、白雪姫は外せない。

絵本であれば豊かな色彩が添えられるのだろうけど、
切り絵は、白と黒の配色にて、余計な情報は削ぎ、
毒を取り込む直前の印象的なシーンのみを取り上げる。

生きる為の食べ物、殺す為の毒物。

彼女の周囲に生える植物は、
彼女が林檎を落とすと同時に朽ちることでしょう。




WATANABE SAKURA
「+a little...」

モノトーンな作品群の中で、
唯一、豊かな色味を持った作品。

被写体となったのは、日常に潜むビビットカラー。
食べ物、飲み物、容器...

皆様のご自宅にもビビットカラー、ありませんか?
多くは差し色として、部分的に用いられるような過激な色。

一見美しいが、自然界にはあり得ないような特色。
動物達も色彩で危険度を測る習性があったりしますが、
私達の日常には、そんな鮮やかさが溢れていて、
気付くと麻痺しているかもしれない。

化学繊維とか人工甘味料とか。
言葉にしても決して身体に良くはなさそうな。

でも見栄えの良いものたち。




お話を伺った所、最終的な作品のアウトプットや、
コンセプトの形成には終止、注視なさっていたとのこと。 

表立って公開している「ポイズンぽい」という言葉の裏にも
彼女達はきちんとしたメッセージ性を持っていました。
(裏テーマは秘密です)

それは生きて行く上でずっと必要になり、
また自分を支えてくれる。

全てに NO と答える必要は無い。
世に存在する「ポイズン」との接し方

三人は「ぽい」を添えて
答えの核とした。

その感覚がたまらなく良い。


SASAKI KOZUE/FUJISAWA MIZUKI/WATANABE SAKURA 
『ポイズンぽい』 
会期:2014.9.20 - 2014.9.27

(ぱんだ)