蒼井スナオ “窓辺の女の子”
WEST 2-B
2014.7.19 - 2014.7.21
スカーフをなびかせて 廊下を走る
花瓶の水がこぼれて ノートは汚れてしまった
ポケットには 色とりどりのキャンディー
上履きのまま かくれんぼ
晴れやかな毎日の中で
わたしたちは 透明になっていく
蒼井さんの写真にはセーラー服を着た女子高生が多く登場する。
掠れた記憶の産物のように輪郭はぼけ、光の境界は迷っているように曖昧だ。
何も特別なものは写っていない。
日常にごくありふれたもので、誰もが身近に感じるもののはずなのに、どこか遠く感じる。
近いようで遠いこの距離。
いったい、何の距離だろう。
まるで過去の自分と対峙するような感覚。
目を背けたくなってしまうような感覚。
個性を大切に、と言って育てられる。
個性?個性とは何だろう。
学生の頃は、少し奇を衒った言動で個性を表現することができたかもしれない。
社会に出れば、なかなかそうはいかないことも多い。
社会に出て気付いたことは、大切なことは個性よりも協調性であった。
個性?個性とは一体何だろう。
個性とは、薄れていってしまうものだろうか。いつかなくなってしまうものだろうか。
たとえば服や髪型で個性を表現すると言うが、服は服。髪は髪。なら、脱げば、切れば、皆同じか。
そんな葛藤を高校時分に感じたという蒼井さん。
この疑問に答えを出す必要はなく、この葛藤そのものがセーラー服と共鳴する。
展示会は本日7/21(月)まで。
お時間のある方は是非ご覧ください。
- chida -