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藤 篤紀



藤 篤紀さん 写真展

" 涙の願い "

Gallery Space  / 2-E






藤 篤紀さんの個展では、ポートレート写真集
【THE FIRST】【THE STORY】の二種類も用意されいますが、
今回は表題となる " 涙の願い " シリーズをご紹介させて頂きます。




" 涙の願い "

この作品シリーズは、十枚の写真作品で構成される。
写真は一枚毎に番号が割り振られ、
この番号の流れにそって作品を鑑賞することになる。

この流れ、この空気。
まるでCDジャケットを眺めているみたいで。
この言葉を藤さんにお伝えした所、
暫し、音楽/バンドの話になってしまいました。


" 1.wish "


音楽を共有することが出来れば、
視覚からとは全く違うベクトルから情報を得ることができる。
それは大変奥行きのある、生きた情報です。

さて、まずご紹介する写真は" 1.wish "
" 涙の願い " シリーズの始まりに位置します。

早朝、潮騒の音。
藤さんの風景写真は
遠く、小さく、音が聴こえる。


" 3.深く刺され "

人物に比べて、風景は思考の波に揉まれることなく、
ニュートラルな状態でシャッターを切れると藤さん。

風景は、番号と共に添えられた言葉/タイトルを介して、
色付き、明確な物語を私達の中に作り出す。




藤さんは積極的にフォトレタッチを行います。

そこには、明確なレタッチのボーダーラインがあり、
その設けられた余裕の中で、
原型の骨子だけが露出する程にレタッチされている作品もある。

この加減、ダイナミズム、揺らぎが走り出すから、
私は必死に、見て、意識を捨てて、
曖昧なものを拾おうとした。


" 5.揺子の雨 "


" 涙の願い " シリーズが制作されるきっかけとなった一枚。

多重露光に加えてレタッチが施されており、
残像のように、焼き切れる直前のフィルムのように、
残った映像が、ある。

じーっと注視してみてください。
何が見えるか、そして、何を想うか。


" 7.親月の傘 "

続いて、こちらの写真も核を担う存在。
これまた画面全体に激しいレタッチ。
でも、やはり、骨子は残っていて。

時間と意識を注いで向き合うことで、
根元にある撮影者の心情は浮き出てくる。

タイトルの意も、是非、調べて欲しい。





冒頭で音楽の話をしましたが、
広大な趣味/趣向が丁度噛み合なくても大丈夫なのです。
合致すればより早い段階で辿り着きたい場所に
到達できるというだけ。

像と言葉の関わり合いに、
早く気付くことができるだけ。

私はもう、知っているけど。
ここでは書かずに、あなたに委ねます。

作品と向き合うと言うことは、
とにもかくにも時間がかかるから。


(ぱんだ)