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うすゆきどり×恩田実佳 『おうろら色の海岸で―』

絵/うすゆきどりさん
文/恩田実佳さん
2人のコラボレーション作品の展示。

『おうろら色の海岸で―』
潮騒のように音を鳴らす作品が飾られています。

WEST : 1-A にて

「 白貝 」

" 零れおちてく 砂の上 掌おさめた 白貝、ひとつ。 "

キャンバス画、言葉が印字されたポストカード大の用紙2枚。
3組で一つの情景を描く。
描かれる情景は単一の視点からだけでなく、
形、言葉というように複数の視点から観察できます。

3組で1つにもなるし、単独でも成立し得る。
柔軟な構造をした作品。
「 WATER BRIDGE 」

印刷された用紙を入れたビニールが愛おしく感じられる。
観覧車の座席のように転々と配置された絵。

壁にかけられた橋は、人が渡るためではなく、
心が行き来できるようにと、組まれたよう。

とんとん、と。

「 いのちあるものたちの行進 」
※写真は作品の一部

縦長長方形のキャンバスを昇っていく。
動物たち、人間たち。
皆の目線は頭上に向いている。

現象自体は、昇天を想起させる。
しかし全体を照らす明るい光は、行進、生の歩みを促す。

笑顔の生物は見当たらない。
行く先は見えず、ただただ、この航路を行く。

「 Biosphere 」
※写真は作品の一部

Biosphere=生物圏、生物が存在する領域

空と地面と湖には、魚、陸上動物、鳥類が描かれている。
中でも湖に描かれた魚の数は多い。

彼らが泳ぐ湖は面白い程に付近の情景を映し出す、鏡。
すると、魚達は水中から飛び出して、宙を飛んでいく。

陸空海、それはすぐ側にあって隣接しているのに。
生身ではうまく掴めない場所。
人間だって、筋力が足りなくて空を飛べない。
息が続かなくて水中に居続けられない。
科学/道具を持ってして、やっと一時的に許される場所。

そんな近くて遠い境界線のお話。

テーブルの上。
アルバムにおさめられた恩田実佳さんの言葉の山がある。
ぱらぱらと眺めていると、それは穏やかな区切りのある
短編集なのだと気付く。

この部屋にある絵や言葉は私たちの意識の表面に張り付いた後、
時間をかけて細胞の中に浸透する。

この感覚を是非、ご堪能ください。

展示日程 / 6月01日(金) ~ 6月05日(火)

(ぱんだ)