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+トモ+ 『+ドリーミー+』 [1-G:2/10-2/12]

トモさんの展示が始まりました!
ARTALKやSoy bonito♪などのグループ展に参加していたトモさんの初個展になります。
前回のSoy bonito♪での展示の様子はこちらのブログで見れます。ブログにも書いてますが、その時に「個展をしたい」とおっしゃっていて、今回それが実現した訳です。

今日は最終日でblogを見てから展示に来る人はほとんどいないと思うので、写真をいっぱい載せてしまいます!



どうですか、このドリーミーな世界!淡く儚く、甘美な世界!!

芳名帳の置いてあるテーブルまで、ドリーミーに色づけされていて、美意識の高さが伺えます。

しかし侮ることなかれ、騙されることなかれ。
ふわふわとしたドリーミーな世界ですが、これだけの枚数を展示するために彼女がどれだけの枚数の写真、ポラロイドを撮ったのか、どれだけの雑貨を作ったのか、それらを作るためにどれだけの情熱と労力と時間、それからお金を注いだのか、また「ドリーミー」というキーワードにたどり着くまでにどれだけの紆余曲折があったのか、想像してみて欲しい。

ご本人も作品のように一見「ドリーミー」な人。でも、そんな外見を裏切る粘り強さを持っている人です。私はこういう展示を見る為に、紹介する為にここでスタッフをしています。そう言っても過言ではないくらい、素晴らしい作品が並んでいます。





どうやったらこういう色合いが出せるのか、とても不思議です。多くの試行錯誤をしているんだろうな、ということしかわかりません。
ただ「可愛い」とか「センスがいい」という言葉では片付けられないような、はっとする写真がたくさん並んでいます。こちらのチョコレートの写真、じっと見つめているとセンチメンタルというか、叙情的な気分になって来ませんか?黄昏時にふっと淋しくなるような感覚。

それからこのイスの写真も気になるんです。
どうしてこの構図で切り取ったのか。
ぱっと見て、「イスのつやつやした触感と芝生の対比が気持ちいい写真だな」と思ったんですが、だんだん赤いイスの左の余白が気になってくる。そして、フレームアウトした公園(たぶん)の全貌まで気になってくるんです。もしだだっ広い芝生の端にぽつんとこのイスがあったら、その公園は辺鄙なところにあって訪れる人もいないとしたら・・・そんな風に考えると、一つ少しだけ離れた赤いイスが、妙に切ないものとして目に映ります。

いくらフラスコ風花瓶が素敵だとはいえ、茎しか映ってないこの写真にもはっとしました。トモさんの他に、世界で何人の人が同じようなものをこんな風に撮れるのだろうか、と思うんです。
何故ありふれたアイスクリームのスプーンを撮っただけで、こんなにも絵になるのか。

夢はあやうい、儚い、壊れやすい。
そういう一瞬一瞬を拾い上げているからこその、「あやうさ」が写真の端々に写りこんでしまっています。そしてそういう「あやうさ」に、とてつもなく惹かれます。
紅葉した木々、落日、取り込んだ洗濯物、残されて物干竿で揺れるハンガー。この写真も見ていると、胸が苦しくなってきます。でも、なんだかそれがとても心地良いのです。だってトモさんの目が捉えたような、こういうきらきらした一瞬一瞬で人生は成り立っているんですよ。私たちは、かけがえの無い一瞬を際限なく積み上げながら生きている、そんな風に感じられるじゃないですか。



誰かが意識してこういう雰囲気の写真を一枚、二枚撮る事は実際可能だと思う。でも、「ドリーミー」という一言に集約するまで撮り続けられる人は、彼女しか居ない。彼女は「ドリーミー」を今後も追求し、表現し続けてくれるのではないか、そんな風に夢見させてくれる展示です。

表現をし続けることは根気もいるしとても大変なことだけれど、表現するべきことが明確になっている彼女のような人は、表現者としてやっぱり幸福だと思うんです。

もし彼女の展示に感銘を受けたのなら、彼女の持ち味や雰囲気ではなく、努力や労力、試行錯誤を真似て欲しいと切実に思います。


DF STAFF KOZUE