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大原 彩花 『istoria』


WEST : 2-C

切り絵作家 大原 彩花さんの個展。
魅せるということを強く意識した展示方法は、
ただの紙に気品を与えます。

久しぶりに長居してしまいました。
丁寧なアートワークを少しだけご紹介します。


デザインカッターでケント紙、模造紙に切り込みを入れて、
生物、静物を切り出す、切り絵。

作品を見つめていていると伝わる、
彩花さんの奥行きに対するこだわり。


切り絵はどうやってこの場所に落ち着いているのか。
アクリル板で挟み込まれて、定着しているのです。
押さえつけている存在を可能な限り排除/見えないようにする。
まるで、宙に浮いているかのように。

額の背面を抜いてみる。
すると影が生まれる。
重厚なドロップシャドウが作品にかかるのです。
もう化粧のよう。


ステンドグラスのように、光を通すわけではない。
色を変えるわけではない。

影を作って、もう一面、同じ像を作り出す。
正面から見れば薄化粧。
横から見れば、二面でその繊細な切り傷を堪能できる。


アンニュイな表情の彩花さん。

工夫が凝らされてるのがこれだけ明らかだと、
質問する側も楽しいです。
はきはきと質問に応えて下さる。
思考が広く渡っているから出来ること。

さて、こちらの作品は「糸」
元は長方形の紙だった。
ふと、部分が抜け落ちる。
ぽろぽろ


あぁ、長方形を構成していたのは、
この微細な色の絡みであったのかと。
大きさは変わらないのに、
素材を拡大したかのように、
タイトルを目にした瞬間、すーっと景色が変わるのです。

この作品がすんごい心地良かった。

こだわりようが内容を複雑にせず、
シンプルなまま見通せるんです。
作品全体に渡ってそれがこなせるってこと。
生半可なことではありません。

会期は本日から三日間 1/6 までとなります。
薄化粧をした切り絵、なかなか見れないと思います。
是非、ご覧下さいませ、ませ。


(ぱんだ)