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ムラセマナブ 『インスタレーション写真展『虚構』』


WEST : ART POCKET

写真を用いた表現方法を模索する、ムラセマナブさん。
今回は、普段とはちょっと違ったアプローチがとられていました。


"インスタレーション写真展"
この言葉は造語なのでしょう。
だから言葉の響きから想像を始めます。

写真とそれに関わる物達が、
どう空間、場所に染み渡るのか。


過剰に白色を注がれた食物、物質。
単体として見れば、ここまでは写真展の域。

まだ平面の中に居る。

「Drop」

木製のフォトフレームがうずたかく積まれています。

ムラセさんが積み上げて、崩れて、また積み上げて、崩れて。
このいびつな形に"偶然"成り得たのです。
そして偶然成り立つということは、
この状態を維持するだけの強度があるということ。

そして収めるべき写真を失ったフレーム達は、
寄り添って、また別の存在になろうとしている。


底が欠如したフレームは、明確に何かを射止めようとはしなくなる。

私達が隙間から覗いて、観えた景観をそれとすることも出来る。
でも、僕の目には、既に彼は収めることを放棄したようにも観えました。

そして、"フォトフレームだった存在"は、新たに外部に手を伸ばす。


それならば、収めようとしなければ良い。
本来の用途を忘れ、自由にあれば 良い。

偶然成り立った構造に僕はカメラを向けて、シャッターを何枚も下ろした。
映る像は既に、フレーム以外の役割に身を置いていました。
楽しそうですよ。
内側にも外側にも飛び出せるようになったのだから。

そして、先ほどの平面作品に目を向けてみると、
あぁ、うずうずしてる。
フレーム/アクリル板の枷が見えてきた。

こんな楽しみ方をしてしまいました。

(展示期間は今週の日曜日までとなります。)


(ぱんだ)