ウラカミトウコ and WAKO
『ノーリーズン派二人展:退屈という宇宙旅行』
2021.5.5-2021.5.11
EAST 303
都内のフレンチで修行する傍ら絵を描いているというウラカミトウコさん、教育関連のNPOに従事する傍ら絵を描いているWAKOさん、2人の”ノーリーズン派”による絵画中心の展示会がスタートしました。
学生時代の同級生というお二人。
ひさびさの再会で偶然、同じタイミングでお互いに絵を描き始めたことが発覚したことで意気投合し、今回の二人展を開催することになったのだそうです。
”ノーリーズン派”とは、例えば「印象派」や「分離派」などの言葉が美術史上の潮流を表す言葉として浸透してきた歴史に倣い、社会的主題を扱う現代美術から離れ、テーマやコンセプトから解放された絵を描いている二人を象徴する言葉として名付けた独自の流派です。
ウラカミさんもWAKOさんも独学で絵を描き始めたということで、今回展示されている作品も特定の技法や画材にとらわれず、様々なアプローチで描かれた作品が並んでいます。
WAKOさんの作品はまるでスケッチブックの中をめくっていくように、その時々に記憶されたであろう風景や人物が描かれています。ときにはリアルに、ときには心象風景のようにフレームに収められた世界を行き来する感覚で作品を眺めて、心地よさを感じます。
前述したように今回の展示ではテーマやコンセプトは設定していないものの、平坦に続く日々を綴ったという点では共通していて、それを指して「退屈という宇宙旅行」と表現しています。
ウラカミトウコさんは、日々の生活の断片を切り取ったような親しみを感じる作品を並べています。それは例えばある日の食卓だったり、ふと目にして記憶に残った風景だったり、誰しもが体験してきたようなひとときが備忘録のように描かれています。
スペースを横切るように、洗濯物のように吊り下げられた作品や、一部の壁面に無造作に散りばめられた作品群は、「メモ」のように軽快に描かれたもの。ほどんど境目なく二人の作品が同居しており、「二人展」という性格をより凝縮した空間になっています。
一つひとつじっくり鑑賞するのはもちろん、俯瞰で見てお気に入りを見つけてみるのもいいですね。
展示についてお話を伺いに行ったときに思ったのが、とても心地よさを感じる空間だということでした。
窓から入り込んで来る柔らかな自然光だったり、コーヒーを片手にベランダに出ておしゃべりするアットホームな雰囲気が手伝ってのことかもしれませんが、それ以上に”ノーリーズン”という言葉が示唆するように、何かを気負わずに、自由に表現された作品に溢れているからなのかもしれません。
展示は5/11(火)まで開催中です。
ご無理のない範囲でぜひお立ち寄りください。
>>>>>>>>>>>>>>
Toko Urakami:
1995年うまれ。上高地の山小屋にいたが、最近下山し、絵をかくかたわら、都内のフレンチにて修行中。長所は目がいいところで、短所は字が汚いところ。いつもの銘柄はLUCKY STRIKE。
WAKO:
1994年うまれ。代表をつとめるNPOで教育の実践と研究をすすめる傍ら、描いている。東京大学教育学研究科修士卒。苔と植物に関心が高い。トリとイヌと暮らしている。