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Jun Atsushi & Kaoru I 『卵が先か梟が先か』


Jun Atsushi & Kaoru I 『卵が先か梟が先か』
2021.2.15-2021.2.17
[WEST 1-C]

昨年12月にも1日限定で展示を行われたJun Atsushi & Kaoru Iさんによる展示会が早くもカムバック。
日常とともに"在る”存在や行動は、私たちの生活、そして人生や未来と深く関わっていることを見逃してしまうこともしばしばあるのではないでしょうか。
本展は、お二人の細やかな日常と生活が陶と漆で表現されたシンボリックな展示会となっております。


元和室の1-Cスペースには、黒くて少し歪な形をしたオブジェが三体、静かに鎮座しています。
こちらの正体は、タイトルの通り全て“フクロウ“。
しかし、フクロウといってもほんの少し、耳のような羽角と呼ばれる部分のようなものが見受けられるだけで、あくまでもシルエットが抽象的に象られています。
作品の表面には漆が何層にも塗り固められており、独特のツヤ感の中にも、陶のぼこぼことしたテクスチャー感と漆の筆跡が上から下に、流れるように、自然な形で残されています。
間近で見ると、凹凸によってできた漆の皺のような色味や質感も拝見することができます。


普段、郊外で登り窯を使用し、作品を制作されているというお二人。
そんなお二人の日常風景の中には、姿こそ見えないものの、遠くから聞こえるフクロウの鳴き声があるのだそう。
そして漆もまた、人によっては皮膚がかぶれてしまうなど、安易に手を出すことが難しい素材。
火力が強い登り窯での制作、漆、フクロウ、いずれも直接手ではなかなか触れることのできないもの。
そんな、触れたくても触れられない存在の神秘性に惹かれた部分もあり、今回の作品を制作されたのだそうです。


日常風景の一部をシンボリックに表現することで、日常そのものがとても神秘的に感じられ、静かに心が整っていくのを感じました。
ただそこにいつも変わらず”在る”こと、それが日常であり生活であること。
それが地続きで続いていることが人生や歴史、文化にも繋がっている尊さがあるのだということを、この小さなフクロウから教えてもらったような気がしました。


もう一点、小さなお椀の作品も展示されていました。
こちらは登り窯での制作”過程”で作品を取り出したものなのだそう。
強い火力を必要とする登り窯。火の炭をどんどんと吸い取って、最終的には白く仕上がるそうなのですが、その火力を上げていく途中で取り出すと、このように炭を吸い取っている状態になっているのだそうです。
中には制作の際に出た灰も。


都会で生活をしていると、なかなかフクロウの声を聞くことは叶いませんが、誰しも日常のどこかに常に在る何かがきっとあるのでしょう。
生活を愛おしく感じる、守り神のような安心感を与えてくれる展示会となっております。

本展は2/17(水)まで。


<スペース詳細はこちら>

[WEST 1-C]

staff kome