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日本視力検査協会 『視力0.2』



日本視力検査協会
『視力0.2』
2020.2.25-2020.2.27
at EAST 101-a

武蔵野美術大学空間演出デザイン、基礎デザイン学科の有志6人による視覚と認知をテーマにしたグループ展『視力0.2』が開催中。決してガチの視力検査ではないですよ。現代美術の展示会です。





会場入り口すぐに視力検査の『ランドルト環』が出迎えているので、本物の視力検査と見紛える人もいたのだとか。

本展示は武蔵野美術大学空間演出デザイン、基礎デザイン学科の有志6人が、「視力検査」をフックに、視覚と認知に関する作品を異なるアプローチで表現するグループ展。ランドルト環は森田直樹さんの『操作』という作品。0.2よりさきはぼやけていて、たとえ目が良くても円弧の開いている部分を言い当てることは困難で、必然的に検査結果が0.2になるよう「操作」されています。鑑賞者は実際に検査をし、終了後に検査結果が手渡されます。しかしその検査結果はだれが検査しても同一となるというもの。





展示は主に2つにゾーニングされ、手前側には河原崎 夏美さんの《検査録》、『見えないものを記憶を頼りに補完する』という認知機能と視覚化を取り扱った二文字りのさんの《つくる》が配置されています。

もう一方、ゾーニングされた幕の向こう側には鈴木信太朗さん、杉江 皐恵さん、平田円理さんの作品が並んでいます。こちらの写真は鈴木信太朗さんの作品。
細菌やウィルスなどを観察するための顕微鏡、時折美しくも見えるそれらの姿から記憶のどこかにある日常的な風景が思い浮かぶ現象を作品で表現しています。

観察用のプレパラートにはさまざまな色彩の抽象画のようなドローイングが極小サイズで描かれ、5枚レイヤードされたそれらをルーペから覗くというもの。




鑑賞者は6枚を自由に組み合わせることができ、組み合わせによって当然ルーペから見える風景も変わってきます。

それだけでなく、「近接で対象物を見るときに被写界深度が浅くなる=一部にピントが合い、手前と奥はぼやけてしまう」という人間の目の機能を利用して、重ねられたプレパラートのうちどの面にピントを合わせるかによって、全く別の見え方がするという作品です。




その一つとなり杉江 皐恵さんは10点ほどの作品から構成されるインスタレーションを展示。写真や絵画や立体、レディメイドなど作品の要素の一つひとつを「積み重なった記憶の欠片」に見たて、それらはふとしたときに自分を救う光となるということを表現しています。

立体作品ははっきりとした形を成していない曖昧なもの。誕生日ケーキを模したものでも、蝋燭が立ててあるからかろうじてそれとわかるくらいです。記憶の中の情景はときに輪郭がぼやけ、その全体像は時間をかけて頭の中に再生されますが、そんな記憶の欠片の堆積物として不完全な形で表出している姿を現しているのだそう。


今回展示メンバーは1年生ながら、個々の作品や、全く別のメディアをひとつの空間に並べコンセプトを表現する展示構成などどれをとっても素晴らしかったです。2/27(木)までの開催となりますので、ぜひ足をお運びください。


【出展スペース : EAST 101-A】


written by isaka