自分売自分 『自分売自分2.0』
2019.11.30 - 2019.12.2
[EAST 101-a , EAST 302]
女子美術大学大学院でメディアを研究されている5人による展示です。面白い仕掛けがたくさんあり、楽しい展示会となっております。
この展示は、メディアの分野を学んでいる5人がそれぞれの感性と表現方法によって制作された作品が展示されています。同じ分野を学ばれている5人ですが、表現方法が様々なのでそれぞれに違った面白さがあり、その中には体感型の作品もあります。
それでは、各作者を紹介いたします。
呉 雨芝
呉 雨芝さんは、主に女性を被写体とした写真を撮影しています。写真に写る女性との距離感の近さや表情から、安心感や優しさといった印象を受けました。背景の映り込みが少ない写真も、情景を想像させてくれる余地を残しているかのようで、鑑賞者は様々なイメージで作品を楽しめると思います。そして、大胆に光の閃光が写り込んでいるところが、現実と夢の狭間のような世界観を作り出しています。呉 雨芝さんは他にも体験型のインタラクティブ装置を展示しています。
張 紫韵
張 紫韵さんは、円をモチーフとして作品を制作しています。円は、人間が古くから「無限・循環」の象徴とて使用してきたことから、張 紫韵さんもこの円という図形を用いて、「積み重なる時間から生み出される強い生命力」を表現しています。円の周りの模様も細胞の形をしているなど、随所に生命を表す表現がされています。宇宙空間のようなデザインと哲学が合わさり、壮大な思考へと導かれていくようです。
また、アクセサリーも展示販売しており、円の形が特徴的な可愛いものが多く揃っていますよ。
夏 子凡
夏 子凡さんのこちらの作品は、日常生活を何気なく送っている少年が登場するアニメーションです。通学中や家でゆっくりしている時など、普段私たちも過ごしている状況が映し出されます。そんなゆったりとした映像なのですが、この作品は置いてあるメガネを通して見ると、今まで見えなかったものが浮かび上がり、一気に印象が変わります。現代社会へのメッセージとも受け取れるこの作品は、これからの人生を見つめ直すきっかけになるかもしれません。夏 子凡さんは、他にもQRコードを利用したアニメーションなども展示しています。
張 佩孜
張 佩孜さんの作品は、イラストと波の光が一体となったインスタレーションです。部屋の中では音楽が流れているのですが、音楽のリズムと音量によって波の形が変動していきます。この波の光がイラスト上で揺らめき、静止しているはずのイラストも動き始めたかのような錯覚を覚えます。また、この波の作品は、聴力障害の方達も視覚を通して音楽の魅力を感じて欲しいという想いを込めて作られているそうです。
小林 美佳
小林 美佳さんの作品は白く輝いた幻想的な世界観が特徴の立体作品です。多くの林檎が転がっていますが、林檎一つひとつが不思議な表情を持っており、全林檎をついつい見回してしまう魅力があります。何かと物語に登場する林檎は、古来より人類の歴史と密接に絡み合っているということから、小林 美佳さんは人間を惑わした禁断の果実である林檎をモチーフに、人間の持つ多面性を表現しています。綺麗で美しい林檎も怖い一面を持っていることを思うと恐ろしいですね。
今回の展示では、メディアというジャンルの幅の広さを知ることができました。
このブログでは体験型の作品など伝えきれない面白さをもった作品が数多く展示されていますので、ぜひ実際に体験いただくことをお勧めします。
スペース詳細はこちら▼
[EAST 101-a]
[EAST 302]
Staff Chi