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早稲田大学写真部 『椿季展』

早稲田大学写真部
『椿季展』
2019.3.4-2019.3.10
at WEST 2-D/E

百十余年の歴史のある早稲田大学写真部の卒業生有志を中心とした写真展『椿季展』が開催。集大成的な作品や、変わらずに日常を切り取った作品など、一人ひとりが自由に制作した作品が並んでいます。






筆者が早稲田大学写真部に在籍していた頃は卒展的な位置付けの展示はなかったので、現役生は自分の頃よりも活動的だなぁと感心しています。ただでさえ年間7、8の展示予定があるにも関わらず、その全てに出展する猛者も中にはいるので、彼らがいかに積極的に写真に取り組んでいるかがわかります。

安部光さんによる作品は、ニューヨークの街を捉えたモノクロのストリートスナップ。
正統派ながら街を切り取るセンス、人の表情を捉えるアンテナの感度が非常に高い。
しっかりと写真脳になって街を歩いているという空気感が伝わってきます。




猪俣大輝さんはまさに「卒業」がテーマの作品。
4年間過ごした学び舎の誰もいない姿を丁寧にすくい取っていて、愛情や親しみのようなものが写真からひしひしと伝わってきます。いち建築物として非常に優秀な大学の校舎は、光の入り方と影の出方が

完全に個人のノスタルジアで恐縮ですが、自販機一台とテーブル席が並ぶこのロビーで私も学生時代多くの時間を過ごしました。授業が終わると必ずここに腰掛け、くだらない話をダラダラとしたり、次に授業に行く人を見送ったり。いまはキャンパスのあちらこちらで改築が行われていますが、この16号館だけは本当にいつまでたっても変わらないですね。




写真展において1点のみを展示することはじつはとても勇気の要ることだと思うのですが、高橋維花さんのこの作品は一枚絵としての美しさが完成された写真です。

一目見てまずはじめに何を切り取ったものなのだろうという疑問が湧き、ぐっと作品に引き寄せられます。傍にあるキャプションに目を向けてみると、そこには「冬の終わり」というタイトルが付されており、これが水に張った氷面であることがわかります。そして再び作品に視線を戻したとき、氷の奥にあるもの、またその表面に映るものなど、さまざまなものが見えてくる。とても深みのある作品です。




鹿本魁人さんの作品も抽象的なイメージの作品です。
「煌」というタイトルの1組の作品ですが、おそらくは光を蓄えながら揺らぐ水面を捉えた写真。

時間帯により太陽の光が色づき、また水面も絶えずその形を変えている。一つとして同じ瞬間を切り取ることができないのが写真ですが、いくつもの要素が複雑に重なり合うことでイメージ生みだされるという点おいては、一層重みのある作品ではないでしょうか。



WEST館2階の隣り合う2スペースで展開される本展示、このほかにもたくさんの作品が並んでおりますので、ぜひ実際に足をお運びください。



早稲田大学写真部:
http://wps.lomo.jp/


【使用スペース:WEST 2-D,2-E】