上智大学写真部
『冬の学外展2019』
2019.3.26-2019.3.29
at EAST 302
春休みも残りわずかとなり、卒業や進級の季節ですね。
展示シーズンも佳境に入ったところで、恒例となっている上智大学写真部の冬の学外展が開催中です。
前回の展示も同じEAST 302ということで、自然光が入るこのスペースに映える作品が並んでいました。
今回の『冬の学外展2019』では「いろ」が一つのテーマとなっており、写真の中にアクセントなる色を取り入れた作品が多く展示されています。
ブルーとレッドのアクセントが印象的な瀧本さんのポートレイト作品。
室内では柔らかな光に青が映えていて、逆に外では背景の青が人物の身につけている赤のストールを引き立てています。
あくまで印象論ではありますが、同じ写真は写真でも、画面の中に一つ鮮やかに目立つ色が入っていると、それだけで全体がパッと華やぎます。とくに人物写真の場合は被写体となる個人のキャラクターを表現する手段としても有用で、冬の寒空の中にあっても明るい印象を与えています。
1組の作品としてとてつもなくレベルの高い蔵内さんの『Fiction』という作品。
タイトルの通りフィクションとして、写真の見せる世界観が作り込まれており、また瞳にクローズアップした写真と、はっきりと表情が見えない人物の写真のセットが想像力をかきたてられます。
一組の写真が「見る」「見られる」の関係性を表現している対の構造となっていると考えることもできますが、一方で人物にフォーカスしてみると、後ろ向きだったり目を覆い隠していたり、「見ること」を拒否しているようにも見える。一方通行の関係性であるならば、瞳をクローズアップした写真が伏し目がちだったり、涙を流している理由も頷けます。そういった鑑賞者側が考えうるストーリーも含めた「フィクション」なのかもしれません。
こちらは前述の蔵内さんのブック。
テーマごとに一つの流れが組まれており、引き出しの多さが感じられます。
最近の写真家でいうと、山谷佑介さんが好きな方にはしっくりくるかもしれません。
有志の学外展ではありますが、一つひとつの作品がどれもハイレベルで、充実した展示となっております。写真が好きな方はぜひ見に来てください。
【 展示スペース:EAST 302 】
written by isaka