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広島市立基町高校 創造表現コース15期生 『点の展』

広島市立基町高校 創造表現コース15期生
『点の展』
2019.3.27-2019.3.31
at EAST 301

スペースに一歩足を踏み入れるだけで、作品に篭ったパワーにふらつきそうなほど圧倒される空間が広がっています。
広島市立基町高校創造表現コース出身の同期生17人によるグループ展が開催中。



宇都宮 未来『生命の樹』 

ある人は進学、ある人は就職、それぞれ違う道を歩んでいる17人が東京で再び集まり、催されている『点の展』。

工芸分野や絵画分野、写真、イラストなどなど、それぞれが突き詰めてきた表現をこの展示に静かにぶつけ合う、そんな印象が空間からビシビシ伝わってきます。

現在は金沢美術工芸大学陶磁器専攻で学ぶ宇都宮さんの作品。
旧約聖書において、知恵の実のなる「知恵の樹」と対をなす存在の「生命の樹」。
知恵の実を口にすることで人間は原罪を背負ったとされていますが、たいして生命の実は不老不死をもたらすとされています。

海に浮かび自分の身体と自然が一体となったとき、自分の小ささと命の大きさを感じたという宇都宮さん。作品からは、命が生まれたその瞬間から現在まで連綿と続く生命の連鎖を、すべて内包しているような印象を感じます。また大きくうねって天に向かう幹は、森羅万象すべての命のうねりを象徴しているかのようです。




『漂流』というタイトルで、空にたゆたう雲を描いた土居 鈴奈さんの作品。
時間とともに色を変え、また形を変える雲の姿を、環境や人間関係、周りに流されながら生きていく自身を象徴する存在として描いています。

見方によっては、太陽の光を浴びながらしぶきを上げ、絶えずうねりを上げている海面のようにも見えます。しかしそれにしたって、現代の、それも彼女たちの世代の生き方や感じ方を写している鏡のような存在と捉えることができますね。




広島市立大学に通う門前 佑奈さんの立体作品。
リアルさを追求する術として多様な技術が存在する中、漆という伝統的なを用いて自在置物が作れる点に着目し、ここまでのクオリティーで生き物一つに命を吹き込んでいます。

はじめスペースに入ったとき、その存在感に圧倒されました。
正直にいうと、本物の伊勢海老を剥製にした作品なのかと思ったのですが、そう感じても不思議ではないほどに生々しいです。写真ではなかなか伝わりづらいのが残念ですが、ぜひ会場にきてグッと近づいて観察してみてください。


今回の展示は実に17人の作家が参加していて大変熱量のある展示です。
卒業をしてもこうやって集まって一つの展示を作り上げるそのエネルギーに感服してしまいました。展示は3/31(日)まで開催していますので、気になる方はぜひ会場まで足をお運びください。


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『てん』のイメージは視覚的なものから概念的なものまで多岐にわたり、その揺れ幅は個々の創造力を加えることにより目の前にリアルとして現れ、体系的なつながりを意識させます。

本展は『てん』に繋げられた17人が、個々の表現を通して『てん』を形にした展覧会です。


【使用スペース:EAST 301】