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TaKu‘,n 『little room #2』

 TaKu‘,n
『little room #2』
2019.2.15-2019.2.21
at WEST 1-D

とてつもなくアヴァンギャルドでどのジャンルにも属さない、暴力的なまでに溢れ出すイメージの集積、そんなこと言葉がパッと思い浮かぶTaKu‘,nさんによる作品。

二度目の個展ながら物量と強度で圧倒される展示です。





支持体を選ばない、特定の技法にも頼らない、持てるものは全てぶち込む。
そんな作品が並ぶ本展示。この写真の作品はまさにその典型で、レコードの盤にコラージュや、スプレー、ペイントを施し構成しています。

音楽を奏でる媒体としてのレコードは、それ自体が一つの作品と言えます。
単体でアートとして存在しているものをさらに手を加え形を変えることで、自分にしか見えていない世界を提示しているのがTaKu‘,nさんの特徴の一つとも言えます。




メインとなる作品はコラージュとペインティングをミックスさせた平面作品となりますが、決してそれだけでは完結しないのが本展示の作品。

自身の作品をあるときは切り刻んでコラージュの素材に、またあるときは一部にフォーカスして手を加え生まれ変わらせる。まるで単細胞生物が分裂を繰り返した増殖をするかのように、TaKu‘,nさんの世界は広がりを見せます。

こちらの写真の作品は、展示作品の一部を拡大し、さらにそこにペインティングと花のモチーフを加えたもの。極論を言えばほぼ無限に作品を作り続けることができてしまうわけです。変容し再生し、そこから再構築されたイメージには奥行きと無限の広がりがあります。




コラージュを軸としながらも、支持体や組み上げ方やを変えながらいくつかのシリーズを制作しているというTaKu‘,nさん。こちらの作品では自身の撮影した写真、過去のコラージュ作品のスキャンプリント、雑誌の切り抜きなどさまざまなものをステープラーでつなぎ合わせたもの。

一般的にコラージュは支持体に切り抜きを貼り付けて平面構成するものですが、こちらは支持体となるものはなく、一つひとつが芯ひとつで繋がった状態。つまりベースがなく不安定なまま形を保っているのです。その不安定さが自身の自意識や内面などを象徴しているのかもしれません。




もともとは違った形をしていたもの、別の場所に存在していたもの、そして自身から生まれ出るものを一つの画面に共存させ、偶然のイメージを生み出しているTaKu‘,nさんですが、そこには自分のエゴも多分に含まれるといいます。それは文字だったり、切りはりした雑誌の中に書かれた言葉だったり、いろんな形で表出しています。

ぱっと見のビジュアルだけでも十分にかっこいいですが、そういったいくつもの要素が重なり合って形を成している一枚絵として一つひとつの構成要素をすくい取ってみるという見方もまた面白い。見るたびに新しい発見があります。


作品点数もさることながら一点の重みがある大変見ごたえのある展示です。
明後日2/21(木)までの開催となりますので、ぜひお見逃しなく。


TaKu‘,n
https://www.instagram.com/chilloutmoon/


【使用スペース:1-D】
author : isaka