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中込雅哉 『近藤凌 散歩 写真展』



中込 雅哉
『近藤凌 散歩 写真展』
2018.12.1-2018.12.3
at WEST 2-D

「近藤凌 ドロップキック」
「近藤凌 ドン!」
「近藤凌 海辺」

作品に付されたのはとある人物の名前と、その写真を端的に表す一語のみ。
すべてがこの近藤凌氏で構成されている、『近藤凌 散歩 写真展』が開催中です。







なんのことはない、とある人物を追いかけた肖像作品の写真展示と言ってしまえばそれまでなのですが、ではこの人物は一体何者なのか?撮影者との関係は?など、そのバックグラウンドが気になってしょうがなくなる。

展示スペースの片隅には一言「撮影者の敬愛する近藤凌の写真を展示しております」と、この写真を撮影した写真家・中込雅哉さんによる言葉が残されているのみで、彼との関係は明かされていません。




となれば、鑑賞者は展示されている写真を通してのみ、彼の人物像を知る術はありません。
ある意味では「写真のみで伝える」という、写真の本分を全うしようという試みでもあります。

と、難しいことはさておき、この近藤凌さん、写真を見る限りではとても明るいキャラクターを持っているように見えます。撮影者との距離感も親しい間柄のそれらしく、ファインダーのこちら側に対するある種の無防備感も伝わってきます。




荒木経惟の登場以降、日本の写真史上で定義された『私写真』という「撮影者の身のまわりの事象やプライヴェートな出来事などを題材とした写真」をさす作品群。

アラーキーは最愛の妻を被写体としましたが、撮影者の敬愛する対象というふうに広義の意味で『私写真』を解釈するのであれば、本展示の作品もそんな私写真の流れをくむものと言えるかもしれません。まったくの他人の前でこんなにもひょうきんな姿はなかなか見せることはでないですから。




こんな色気のある表情も。
展示されている写真は、そのほとんどがいわゆるカメラ目線。
視線がまっすぐにカメラを向いています。

撮影者と同様、鑑賞者もまた彼の視線と向き合うことになります。
だからなのか、感受性の豊かな人は展示されている作品をすべて眺めたあと、自分とは赤の他人であるはずの被写体に対して、まるで友人かのような錯覚を覚えてしまうかもしれません。


自分の身近にいる敬愛の対象、親しい誰かは、自分に対してこんなに豊かな表情を向けてくれるだろうか。そうやって自分や身の回りとの関係性について、問いかけているかのような、示唆に富んだ写真展でした。12/2(月)まで開催中です。

中込 雅哉の撮るストリートスナップもとてもかっこいいので、こちらも併せてチェックして見てください。


中込 雅哉

https://www.instagram.com/intothegarbage/

近藤 凌専用instagram
https://www.instagram.com/kondoryosanpo/


【使用スペース:WEST 2-D】