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榎本大翔 慶 涼平 のぶ 『フラッシュのあとで』



榎本大翔 慶 涼平 のぶ 
『フラッシュのあとで』
2018.7.27-2018.7.29
space : WEST 2-A

過去を振り返ること、もう自分にはないものをある程度の距離感を持って傍観すること。
そんなふうに冷静にものごとを観察できるようになって、大人になるってこういうことなんだなーと感じると同時に、どこか寂しさも感じます。

本展示『フラッシュのあとで』は、参加する4人の作家が各々の視点から、かつて自分が持っていたもの、無色で爽やかなあの頃を主題にした作品を展示しています。







網膜にこびりつく残像以外に、何も残さずに消えていくフラッシュの光のようなもの。
そんなテーマのもと榎本大翔さん、梁川慶亮さん、河合宣さん、佐々木涼平さんの4人が開催している本展示。
話を聞いてみると「爽やかさ」や「過去」といったキーワードが浮かび上がってきます。

涼平さんの作品はストーリー仕立ての絵画の連作。
「匂い」をはじめとした五感から期記憶を呼び覚まし、想像を巡らせる女性の姿を描いています。

最後のコマ、雷雨の荒野に佇む女性の表情がとても印象的なのですが、この絵の閃光こそが過去に自分が持ち得ていたもの、「爽やかさ」のメタファーとなっています。
かつて自分にはあり、今の自分にはない。それを自覚して、どこか距離感を持ってその輝きを眺めています。



こちらはのぶさんの出品作品。
日常に溢れる「爽やか」「かっこいい」「かわいい」という"合言葉"に、対象の本質に触れない「うわべ」なものを感じるというのぶさん。
モザイク処理された写真を背景に、「過去↔︎未来」「かっこいい↔︎かわいい」を象徴するイラストレーションをコラージュし交差させることで、そうした「うわべ」から一歩踏み出そうとする作家の意図が込められています。




後述する榎本さんとの二人展では、人物画を中心とした作品を展示していた梁川さん。
本展示においては具象とも抽象ともつかない、迫力のある一枚絵を出展されています。

「爽やかさ」とはある種不可逆的なもので、年令を重ねていくにつれてノイズに上塗りされていくき、元の状態には戻れないと解釈した梁川さんは、あるときに堰を切ったように溢れ出るマイナスとプラスがないまぜになった感情の中に、自分のうちにある「爽やかさ」を見出したそうです。

この作品の中には人の顔、身体だったり蛇だったり、さまざまなモチーフを見つけることができます。
俯瞰してみたときは抽象画のように見えますが、距離を縮めていくとそんな具象的なモチーフの集合体で構成されていることがわかります。そしてそのモチーフが一度頭にインプットされると、初めて見たときの「抽象画」のイメージには戻れない。そんな立体的な奥深さと不可逆性をこの一枚にぶち込んでいるんです。




最後は榎本大翔さんによるインスタレーション作品。
『爽やかさ』とは何かという問いに対する解釈をインスタレーション作品で表現しています。

過去を振り返ること、そこにあった「爽やかさ」を思い出してみるということ。
曖昧で不安定な存在であるそれらを、皆でぼーっと眺めてみようというのがこの作品のコンセプトなのだそうです。

その一連のプロセスを音、映像、立体、平面を構成して表現したこの作品は、頭の中のイメージを可視化したとも言えます。人の記憶は、思い出す過程で美化されたり、ときに突拍子もない想像が入り混じったり、忘れてしまったり、形がなくてぼんやりとしたものでもあります。この小さな部屋で作品を見ていると、そんな感覚が再現されているように思えてきます。


デザインフェスタギャラリーをはじめ都内にて精力的に作品発表を続けている彼ら。
作品や彼らの言葉からは並々ならぬ熱量が伝わってきます。
本展示は今日で終了となりますが、気になった方はぜひ今後も注目してみてください。


榎本大翔 http://instagram.com/enomotodaisuke
慶 Ihttp://instagram.com/yan___k
涼平 http://instagram.com/sasakiryohe
のぶ http://instagram.com/nobbbbbbu



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staff isaka/shimada