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東京造形大学有志グラフィックデザイン専攻

東京造形大学有志グラフィックデザイン専攻
2018.2.23 - 2018.2.25
[EAST 101-b]


東京造形大学グラフィックデザイン専攻領域2年、有志6名によるグループ展が開催されています。
テーマは「WORK」。「WORK」には「仕事」だけでなく「勉学」「研究」「作業」といった意味合いもある中で、6名それぞれの捉え方、視点によって表現されています。
一部になりますが展示のご紹介です。





TAKASE TAICHI「"concept and impression"  "simplicity and complication"」

入り口を入って目に飛び込んできたのはインパクトのある4枚のポスター。TAKASE TAICHIさんの作品。それぞれのポスターからは何かの法則性を感じさせるようなビジュアル、それでいてどこか有機的な雰囲気も感じさせます。TAKASEさんにとっての「WORK」の表現は、人間の「知覚」にフォーカスし研究したことをグラフィックに落とし込んでいます。作品から鏡写しのような雰囲気や対となっているようなグラフィックが見て取れるのは、「印象」と「観念」、「単純」と「複雑」という二つの区分を表現しているから。この作品のインパクトは是非直接見ていただきたいですね。

私たちは生きて行く上で、刺激にさらされている。
人間を含む動物は、外界からの刺激を感じ取り、それに基づいて行動する。
感じ取った外界の刺激に意味づけをするまでの過程を知覚と呼ぶ。
例えば熱いものに触れた時、皮膚が物理的な刺激(熱)に基づく感覚情報を受け取り、それに対して「熱い」という意味づけを行うまでの過程が知覚となる。特に「work・仕事・働く」というのは現代社会において多くの刺激にさらされている。これは非常に多くのことを知覚しており、その知覚は人間の心理と密接に結びついている。
そして人間の心に現れるすべての知覚は、二つの異なった種類に分けられる。
一つは「印象」もう一つは「観念」。二つの相違は、これらが心に働きかける思考や意識の内容となる「勢い」の違い。つまり、ハッキリと認識できる知覚を「印象」。それ以外の認識(ぼんやり思い浮かべたり)する知覚を「観念」とする。しかし、この対象的な二つの知覚には著しい類似が見られる。それは「印象」から「観念」が現れてくるが、逆は起こらないということである。もし起こるとしたならば記憶もしくは想像になる。記憶には「印象」の性質が残っているが、想像はまったくの「観念」であるという点で異なっている。まるでお互いを鏡に映し出したような類似。従って心のすべての知覚は二重構造になっており「印象」としても「観念」としても現れ、常に二つは対応していることになる。
知覚を「印象と観念」に分けたが、知覚にはもう一組の区分けがある。それは「単純と複雑」。まず「単純な知覚」(単純印象と単純観念)は部分的に区別したり分離したりできないもの。これに対して「複雑な知覚」(複雑印象と複雑観念)は部分的に区別できるもの。こうして知覚を二組の区分に整理すると、ここである一つの命題が出てくる。イギリスの哲学者「デイヴィッド・ヒューム」の言葉を借りるとするなら「初めて現れるときの単純観念はすべて、それと対応し、それが正確に再現する単純印象に起因する」ということだ。
すなわち「work・仕事・働く」は「印象と観念」「単純と複雑」という二つの区分に意味付けすることができる。
Instagram:ttttttttt_tai


KANZAKI AKANE「Sound working」

KANZAKI AKANEさんは「曲」をコンセプトに作品を制作。
毎日働く中で人々がリピートしている自分だけの「曲調」があるという視点から、CDを媒体に各職業ごとにグラフィックを制作されました。よく見るとバイオリズムのグラフのような描線も同時に描かれています。

働くことは毎日の繰り返しで、
日々がリピートされて過ぎて行きます。
そんな繰り返されていく日常の中で、仕事がうまくいかず、辛くてやめたいなと感じる時もあれば、仕事に成功して、また頑張ろうと思えたりすることがあると思います。
このように毎日の気持ちの変動もありながら働く人たちは、
一人一人が曲調を持ち、一つの曲がリピートされていくように、何かやりがいや目標を持って働いています。
その持つ毎日のリピートされた曲たちには
それぞれ魅力を持って他人の心を響かせているに違いありません。
今日もこの国ではたくさんの音で溢れています。
Instagram:i_am_akane0988


WAKABAYASHI KAREN「GRAPHIC アンド WORK」

"GRAPHIC アンド WORK" とラフに書かれたキャプションが印象的なWAKABAYASHI KARENさんの作品は明快でわかりやすくすぐにそれとわかるビジュアルが見ていて楽しくなりました。目の付け所が面白く、作品ごとにどのような視点で制作されたものか想像する楽しみがありました。

シゴトの中のけしきをグラフィックに。
Instagram:blue___k_
https://www.instagram.com/blue___k_/


SUZUKI NAGISA「HANDWORK」

こちらは「手作業」にフォーカスしたSUZUKI NAGISAさんの作品。
被写体となった手はSUZUKIさんのご家族。写真から感じる優しい雰囲気はそのままSUZUKIさんの視線でしょうか。温かい雰囲気を感じる冊子も同時に見ていただけますので、是非お手にとってご覧いただければと思います。

あなたは今、どんな手をしていますか?
すらっとした手、力強い手、柔らかい手、ゴツゴツとした手、傷だらけの手…
人によって、手の表情は大きく異なります。
また、私たちの周りにあるものはどれも、一人一人の手から生まれています。
作業や仕事をするのにも必ず「手」が必要なのです。
今回、私は手作業に注目し、写真撮り、冊子にまとめてみました。
父、母、祖母それぞれの手の表情を見て頂けると幸いです。
Instagram:ao____0702


TAKIZAWA CHIKAGE「お母さん」

TAKIZAWA CHIKAGEさんは「お母さん」というテーマでご自分で見聞きしたことを作品として表現されています。それぞれどのような意図で制作されたものかとても気になりました。こちらの作品は洗濯物を干したりしている家事の様子を描いたものでしょうか。まるでスポーツでもしているように見える様子がなんだかコミカルで面白いです。

お母さん:お母さんって大変なのよ。
料理に洗濯、夫や子どもの世話…
毎日毎日やることたくさん、
お母さんって大変だなあ。

お母さん:でもね、お母さんって楽しいものよ。
友達のお母さん達、その娘さんや息子さん達に
「お母さん」について聞きました。
そして聞いたことを描きました。

お母さん達は、みんな頑張り屋さんで
かっこいいなと思いました。
Instagram:chikage_takizawa


SANESHIGE SAE「たてもの × はたらく」

「建物」に焦点を当てて作品を制作するのはSANESHIGE SAEさん。
働く人にとっての建物とはどういう存在なのか、様々な角度からグラフィックデザインを通じて考えさせられる2コマ漫画を展示。コミカルなものや難解なものなど、一つ一つのストーリーが大変気になりました!在廊されていたらお話を直接聞いてみるのもいいですね。

働く人にとって、建物とはどんな存在でしょうか。
働きやすい環境を提供してくれる、
新たな居場所ができる、または
窮屈なイメージを受ける、
内と外を分ける…
など
一人一人印象は異なると思いますが
いいイメージもあればマイナスな面もある
非常に難しい存在ではないかと感じます。
この作品は
実際に働いていた時に感じた建物の印象や
建物内で働く人、建物に携わる職業の人の様子などから見えた
一つの言葉では言い表せない「建物」と「働く」の関係性を
2コマ漫画で表現したものです。
様々な「建物と働く」を、お楽しみいただけたら幸いです。
Twitter:@sqqqs_23


展示は本日が最終日。
次の展示が楽しみになる作品展でした。


【展示スペース:EAST 101-b】

DESIGN FESTA GALLERY 原宿
Staff Jun