彼方 誼 『偽彩 / 残像記録 / 暗い空の下』 2016.10.14 - 10.16
風景写真を中心に撮影活動を行う彼方さん。
日常風景を題材としながら幻想的な作品たちは見ていて飽きることがない。
どこかノスタルジックな雰囲気に心惹かれる、展示の様子をご紹介いたします。
かれこれ10年ほど写真活動されている彼方さん。
旅行趣味が高じて写真も始められました。これまでグループ展への参加はあったそうですが、
個展は今回が初めてとのこと。
普段はカラー写真を撮影しているそうですが、今回は赤外線での写真撮影をし
モノクロ写真を中心とした作品展示を行っています。
赤外線写真は、光を吸収する色が黒くなり、逆に反射するものが白く映し出されます。
そういった色それぞれの性質がもつ変化も楽しむことができる展示となっています。
京都タワーから撮影したという作品。
人工物である町と自然物である山脈とのコントラストがみごとに表現された一枚。
山に落ちる雲の影までもしっかりと映りこみ、カラーでの美しさを想像するのも楽しく
なります。
28番の写真は赤外線+可視光で撮影されたもの。
ひとつひとつのモチーフが合成のように見える作品は、その違和感加減がまた
みるものを惹きつけるのかもしれません。
俯瞰写真がモノクロになり、かつコントラストの強い作品の影響なのか、
ミニチュアのつくりもののようにさえみえる作品。
みればみるほど遠近感まで曖昧になり、本物に見えなくなるところが面白さのひとつです。
水面に完璧に映し出された地上の風景が美しい作品。
実はこれ、上下が逆になっています。
夜景の中、水面には鮮やかに青空が映し出されているかのような写真。
天地を変えるだけでこれだけ神秘的な世界に変わるものなのですね。
写真は現実に近いものだからこそ、不自然を持ち込んだときの違和感が、
絵よりも大きい。
彼方さんの個展では、それが居心地の悪いものでなく、どこか心地よい違和感を感じられる
興味深いものでありました。
展示は本日までとなりますが、彼方 誼さんの活動はウェブサイトやツイッターからも
確認いただけます。
今後の活動もぜひご期待ください。
http://afterimage.official.jp/
【使用スペース:EAST302】
DF STAFF ASUKA