公立はこだて未来大学
『情報デザインコース卒業研究展覧会2016』2016.2.17-2016.2.19 at EAST 101
2000年に開設された公立はこだて未来大学の情報デザインコースの卒業研究展覧会が行われております。
それぞれの学生さんが『未来を形作るデザイン』を、自身の研究成果とともに体験出来る形で発表しています。
発表形式は資料とともに、各々が開発したデバイスやプログラムを用いて体験でいるというもの。
ここではその一部を紹介しようと思います。
『資料館の関係性を視覚化するデジタルアーカイブの開発』という研究発表を行った三野宮さん。
資料を一見しただけでは理解が難しいかもしれませんが
このように実際に開発されたシステムを体験出来るようになっています。
膨大なデジタル資料をただ整理するだけではなく、
一つひとつに複数の属性を持たせることでそれぞれの資料の関係を見やすく整理出来るというシステムです。
今回は博物資料をもとに実装されていましたが、
実用化された暁には大規模展覧会の鑑賞者向け資料として、
またはコレクションを持つ美術館や博物館、果ては研究所向けのシステムとしても有用です。
矢久保さんの研究は「デジタル機器とアナログ玩具の良いとこ取りは出来ないか?」という発想から、実際に手を動かしながら子どもの問題解決能力を養うことができる学習ゲームを開発。
四角いスペースにフェルトで出来た建物を置いてみると、
デジタルデバイス上にこのような形で家が建ちます。
言ってしまえばシムシティのアナログ融合版。
「ゲームばかりしていてはダメ!」と嘆くだけではなく、
両方の長所を生かし子どもの教育に役立てることを見据えた研究です。
クックパッドを代表格に、ネットで気軽に料理レシピを閲覧出来る時代。
しかし分厚い料理本のように、料理の上達を助けてくれるサービスは意外な程少ない。
そこに着目し、料理の腕前を上げることを目指したシステムの開発に取り組んだ吉岡さんの研究発表。
こちらは実験資料の一部です。
上は料理上手の視線分布で下は料理は月一程度という人の視線分布。
両者の違い、分かりますか?
前者は写真をあまり見ず、工程を順序を負って見ているのに対し、
後者は写真に目がいく一方、工程を見るのも前後しています。
そしてこれが視線分布をより体系的に可視化したもの。
料理をしない人の視線の行き先に迷いがあることが分かります。
このような人でも、手軽に料理ができ、かつ料理のコツを習得出来るように特化したシステムの構築を目指した研究でした。
研究ノートはびっしり!
最後に紹介するのが齋田萌さんによる研究『思い出コミュニケーションを促進する都市写真の共同鑑賞法』
函館という街の歴史、地形を活かし、地域の人たちがその土地の思い出を語る場所の確立、活性化を目指した研究です。
この写真は上下とも函館の街を俯瞰したパノラマ写真です。
上が130年前の明治時代の函館、そして下が現在の函館。
どうですか?ぱっと見た印象はほとんど変わりません。
もちろん130年の間に無くなったもの、新しく出来たものはあります。
しかし地形はもちろんのこと、東京のような大都市と違い区画はほとんど変わりません。
この写真を生かし調査を重ね、「思い出を語り合い」を活性化させる要素を見つける研究を行っています。
「東京で展示をやってみるのはどうか?」という先生の提案に始まり、
準備はほとんど学生さんが主体でやってきたそうです。
『未来を良くするためのデザイン』について、みなさんとても熱心に考えていて、
ここですべてを紹介出来ないのが惜しいくらい、興味深いものばかりでした。
はこだて未来大学のみなさんはとてもフレンドリーに自身の研究テーマについて、熱く語ってくれました。
展示は明日までとなりますので、ぜひ実際に足を運び体験してみてください!
公立はこだて未来大学『情報デザインコース卒業研究展覧会2016』
http://funifd.com/exhibition/postex/
公立はこだて未来大学
http://www.fun.ac.jp/
【使用スペース:EAST101】
DF STAFF isaka