肉好きの肉好きによる肉好きのための ONIKU展
人間の最大欲求の中から「食欲」を取り出し、
食を取り上げるならまだしも、
ピンポイントに肉だけを貪り食うなんて。
どこまで肉を愛しているんだ。
ヨシダモモカさん、ワタナベユウミさんの絵画展示。
ヨシダモモカさん
" SHIMOFURI " というタイトルの作品。
既に何か口に含んでいる様子。
何かショッキングな出来事にあった場合、
背景にイナズマがずばー!って走る描写、アニメとかでありますよね。
ここではジューシーな肉の表面に浮き出る霜が、
彼女の脳裏を駆け巡り、
舌の上を転がり回る。
「焼き肉」
網の上でじっくり焼き上げられるお肉の上で
踊る踊る小麦肌のダンサー達。
肌があんな色にかわるまで。
肉が焦げるイメージが溶岩のように流れ出て。
お肉に対する熱い想いをあらわにしながらも、
冷静に、一歩引いて、描写を行うヨシダさん。
展示期間中に、数点作品が売れました。
その嫁ぐ先が、なんと、お肉屋さん!
偶然いらした来場者さんが、お肉屋さんのご主人で、
店先に飾る作品として、ご購入されたようです。
「肉」で繋がった出会いであります。
「ONIKU製造工場」
何の肉なのか?それはわかりません。
飼育/と殺/加工
普段目にしない場所で行われている、食卓に並ぶまでの下準備が、
目を背けたくなる現実がここでは切り離されている。
肉ではなく ONIKU なんですよね。
肉ではないかもしれない。
肉に似た、何かかもしれない。
謎が謎を連れて来る、ワタナベユウミさんの作品。
「肉親」
少女の表情が今作品の引き金でありましょう。
犯人は絶対彼女です。
両親の顔に平たいステーキ肉を「ぺちん」とひっかけた犯人。
良い肉、高い肉だと思うのです。
それを惜しげも無く武器に使ってしまって。
それほどまでに憎いのでしょう。
美味しい武器です、多分生。
「肉密」
衣類を脱ぎ捨てた女性の胸、髪、耳、頬、肩を
強欲な手のひらが覆っています。
肉は何も食肉だけに留まらず。
私達の身体の構成要素であります。
肉は私達のパーツであり、
女性の肉は男性の欲の矛先でもあります。
「肉欲」という言葉は、異性の肉体を求める性的欲望のことを示します。
肉とは生々しい存在なのです。
多くの人々が笑って許せる範囲のブラックジョークを
ふんだんに取り込んだ作品を展示されていたワタナベさん。
彼女がタイトル、コンセプトにふりかけるジョークは、
実に真面目な想いがあることかと思います。
他人を振り切らない、その速度が心地良かったです。
(ぱんだ)