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岩井柚樹/木村遥香/吉川薫平/藤田瑞穂『GENDERLESS』



岩井柚樹/木村遥香/吉川薫平/藤田瑞穂
『GENDERLESS』
2021.8.3-2021.8.9
at WEST 1-F

4人の作家が集まり、作品表現を通して『ジェンダー』の問題と向き合うことをテーマとしたグループ展『GENDERLESS』が開催中。
モチーフの選び方や描き方、それぞれの手法でジェンダーレスとは何かを考える展示です。


高校の美術科や予備校の同級生など、4名の作家が集まったこちらの展示。
現代社会におけるジェンダーの捉え方や多様性など、日本では欧米諸国に比べ圧倒的に遅れている現状などを踏まえ、作品を通して正面からこの問題と向き合おうと試みる展示となっています。

こちらは大学で日本画を専攻する木村遥香さんの作品。
日本画ならではの少しざらつきのある質感は、実際に原画を見ることでしか味わうことができません。




「白のひと」というタイトルの作品。

ジェンダーレスという言葉の「レス」という言葉は、例えば「ボーダレス」という言葉をイメージしてみればわかる通り、境目が「ない」ということを意味します。

無垢を象徴する色としての白は、今回の展示に即して言うなれば、そのような境目が存在しないことを示唆しているのかもしれません。




社会が植え付けている女性性をシニカルに表現しているのは藤田瑞穂さん。
画面右側の作品「初潮」から始まる一連の作品には、同一のモチーフが描かれています。

左側の「消費」という作品はまさに、社会的に消費されている女性のイメージを、判を押したようなモチーフの反復により皮肉っています。




向かって左側にも、これまでのモチーフが登場しています。
こちらの作品のタイトルは「赤か青か」。

例えば学校や街中、百貨店などでトイレを示すサインを想像して見てください。
男性は青でパンツスタイルのピクトグラムで、女性は赤でスカートをはいた人物のピクトグラムでそれぞれが表現されています。こうやって当たり前のように無意識に社会から刷り込まれている男性/女性のイメージについても、誰もが一度立ち止まって考えなくてはいけないのかもしれません。




ジェンダーレスという考え方と多様性を尊重できる社会の実現は、切ってもきれない関係だと思います。吉川薫平さんはそんな多様性をさまざまな髪色をした人物ドローイングで表現しています。

ジェンダーレスとは話が少し離れていますが、近年中学校や高等学校の不必要に厳格な校則が話題になることがあります。代表的な例でいうと、生まれつき栗色の髪をした生徒が、染色禁止の校則のもと黒く染めさせられたり、「地毛証明」などという書類の提出を求められたり。

誰がのアイデンティティーや自己表現、自己実現は何人たりとも毀損されるべきではない。それはジェンダーの問題も同じです。本作はそういったことに思いを致すきっかけになりました。




最後は岩井柚樹さんによる日本画の作品。
家猫や街中を切り取ったスナップ写真のような作品がある中で、最後に並んでいるのがこちらの自画像の作品。

左の「私から」右の「私へ」からなる連作は、髪型が変わるだけで随分と違った印象を受けます。人のもつ個性は決して表面的な見かけで定義されるものではなく、自身の持つ多面的な要素を表しているように思えます。


純粋に作品一つひとつの魅力もありつつ、タイトルに目を向けてさらにその作品の持つ意味をじっくり考えて見て頂きたい。当たり前のように思っていることが誰かにとって窮屈なものかもしれない、そんなことを考えるきっかけになるような展示でした。8/9(月)まで開催中ですので、ぜひお立ち寄りください。


【出展スペース:WEST 1-F】