[EAST 301]
野中みなとさんと堀江みゆうさんによる二人展『淡交』が好評開催中です。
あっさりとした人との交際を意味する「淡交」という言葉をテーマに、文字通り淡くさらりとした二人の世界観が混じり合う展示となっております。
一部となりますが、展示の模様をご紹介いたします。
野中みなと
デジタル技術を駆使し、躍動的な描画を描かれている野中みなとさん。
人の交流関係は水の流れのようだというその作品からは、数多の色、数多の線、それぞれの個性がひとつの渦のように描かれています。
混じり合う渦はそれぞれ単色で上から重ねられており、混じり合うようで混じり合わない、人と人の交流の刹那のようなものも感じられます。
手描きで金のドローイングが施されている部分も。
見る角度によって上品にきらめく美しいゴールドは、その存在を自ら強調しているようにも。
こちらの作品は、デジタル作品の技術を利用した作品群。
全て丸い円形の中で組まれるパターンですが、無限にパターンを生み出すことができるその技法によって、二度と同じ形状を作り出すことができない、唯一無二のグラフィックです。
数多のパターンを鑑賞していると、どこか胎内のような、細胞分裂による蠢きのようなイメージにも。
一人として同じ人間は存在しない、その生命の尊さも感じられるようでした。
堀江みゆう
現在、東京綜合写真専門学校に在学されている堀江みゆうさんは、2つの作品パターンで「淡交」を表現されています。
こちらのポートレート作品群は、全て堀江さんのお知り合い。
しかし、他者から見て、この写真に映る人々はどんな性格で、どんな生き方をしているのか、内面の部分は客観的に見極めることはできません。
その「淡交」とした距離感は、文字通り淡々とした人間の営みを表現しているかのよう。
こちらは全て夜景を撮影された作品群。
その時その瞬間の匂いや空気感といったものを写真で表現するときに、具体的な静物を撮影するのではなく、より抽象的な手法で撮影することで、鑑賞者に様々な想像を膨らませます。
黒の中に漂う色とりどりの球は、抽象的でありながらその空気感を閉じ込めた美しい日常の風景の一部。
そう思うと、とても日常の一幕がとても愛おしい存在になる気がしました。
それぞれが表現する、人と人との淡い交わり。
東京で生活していると、その静寂さに少し寂しくなったりもしますが、日常と人との関係性を客観的に考えさせてくれる、そんなさわやかな展示空間となっておりました。
本格的に寒空になってきた展示期間ですが、その寒空さえとてもぴったりに感じられます。
本展は12/20(日)まで。