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写真で伝える会 『噂の写真展2020』



写真で伝える会 『噂の写真展2020』
2020.12.1-2020.12.7
at EAST 101

「写真の持つ力を信じ、写真の力によって人と人を繋げ、社会が抱える様々な問題や、繋ぐべき伝統、守るべき環境など、様々なメッセージを発する事によって、社会貢献を目指し、また表現発表の場を求めている写真家たちの活動の拠点となるべく有志により発足」した団体「写真で伝える会」による大規模な写真展が今年も無事開催中です。

日々めまぐるしく変化する写真表現への可能性を追求する数々の写真作品が、 所狭しと並んでいます。



2008年より始動し、2011年からはデザイフェスタギャラリーにて毎年開催されている「噂の写真展」。今回は記念すべき弊廊での10回目の開催となりました。コロナ禍という特殊な状況下において、なおそれぞれが変わらぬ写真表現への情熱を作品へ注いでいます。

イタガキシュウセイさんの作品は、ひと気のなくなった渋谷の街を捉えたストリートスナップ。新型コロナウィルス感染症の感染拡大ピーク時に発令された緊急事態宣言下では、文字通り街から人の波が消たことは記憶に新しいところです。よく見てみると、写真の中の店舗には休業もしくは短縮営業を知らせているものと思しき張り紙が、降りているシャッターに掲出されている様子が確認できます。まさに、「時代を映す」という写真の本分とも言うべき作品です。




コロナ禍では人の移動も制限され、未だ遠出が憚られる日々が続きますが、そんな状況の中で深沢久美さんは、最寄駅からわずか20分ほどのビジネスホテルへお子さんと「せめてもの旅行ごっこ」に出かけた際の様子を写真に収めた作品。ありのままの親子の肖像と、ちょっとした非日常を楽しむ生き生きとした表情が見てとれます。




こちらはそんなお子さんが、写ルンですを手に持って撮影した写真たち。
カメラを手に持たせると、ほんの10分ほどでフィルムを撮り切ったのだそう。

大人よりもちょっと低めの視点から、ありのままに見た景色が写し出されていて、見ているこちらも探検しているような臨場感があります。なんでもない日常こそが尊いものなのだと教えられた気がします。




こちらはKiichi Sekiさんによる作品。
おおよそ3:2の比率である35mフィルムのフォーマットから上下がトリミングされ、横長のフォーマットに切り取られた写真がタイル上に並べられています。

これはフィルムをフルサイズでで横長に拡張するパノラマ写真を擬似的に再現できるフィルムカメラの機能で、いわゆる「擬似パノラマ」と呼ばれるもの。切り取り方次第で見えている世界が劇的に変わる、これも言ってみれば写真らしい表現なのではないでしょうか。シネマスコープサイズに近い比率のため、一つひとつが映画のワンシーンのようにドラマティックに見えてきます。




曇天に映える鳥の大群を写した森田篤さんの作品。
2枚のみですが、躍動感と迫力にあふれています。

鳥たちが弧を描く様や薄暗いトーンからは、写真家 川内倫子の近作を彷彿とさせます。
連なって自由に旅しているように見える鳥も、やがては帰るべき場所へ帰っていく。
今こうして続く苦難もやがて終わり、在りし日の日常に帰っていくという希望を示唆しているような作品です。


以上を含め、今回の展示では実に34名のフォトグラファーが参加しており、物量も見応えも十分。一人ひとりが違ったテーマに取り組み、それぞれにストーリーがあるのでぜひじっくりとご鑑賞ください。


参加者一覧:

寺師義和 / 岩本太陽 / 平山直子 / 半澤祐美子 / 磯田重晴 / Satomi / ふかつみちよ / おおのこうじ / 森田 篤 / えづらあつし / 東 朝美 / セキネ ヒロキ / Kiichi Seki / 渡辺邦斗 / K.homma / 小野里良之 / TEPU / 結実華 /ぶーちゃん / 雲海 / 古郡高廣 / イタガキシュウセイ / aic / 坂田昌晴 / ebina / ヤマナカオサム / 水藤直人 / 北尾辰也 / 島津真紀 / 深沢久美 / 西 浩二 / 七海れいん / 伊藤華織 / 新橋克裕

写真で伝える会



【出展スペース:EAST 101】
DF STAFF isaka