バナーエリア

このブログを検索

【企画展】10人×10日間のBOOK COVER展 展示レポートvol.2


SHIBUYA TSUTAYAとの共同企画展『10人×10日間のBOOK COVER展』が開催中です。

世界的な名画を見に美術館へ出かけずとも、より日常に寄り添った形でアートを楽しんでもらえるよう、本企画では総勢20人の作家による作品をブックカバーにしました。普段持ち歩く本に掛け、あなたの生活の一部としてアートが彩りを添えます。

本企画はSHIBUYA TSUTAYAが2019年より始動させた、若きクリエイターや表現者と、SHIBUYA を楽しくするコンテンツを産み出すプロジェクト「NEST」と連動した企画展です。 SHIBUYA TSUTAYAでは10組のアーティストをフィーチャーし、デザインフェスタギャラリーでは10組のアーティストを公募しました。アーティストによる原画作品はブックカバー化され、書店としての機能も持つSHIBUYA TSUTAYAにて書籍購入者に配布することで、身近にアートに触れてもらおうという企画となります。

■展示レポートvol.1はコチラ
■展示レポートvol.3はコチラ
■展示レポートvol.4はコチラ

翠川 縁



デザインフェスタギャラリーにて8/30(金)より個展開催を控えている翠川緑さんの作品。
作品のモチーフとなる実在しそうなフォルムの実在しない生き物たちと、さらに特徴的な青系の色使いが深く印象に残ります。

ブックカバーとなった上部の作品「存在」には、大小2匹ずつの魚に似た生き物が描かれています。少し先をたくましく泳ぐ個体、列の最後尾をついていく個体、それに挟まれる大きめの個体という組み合わせは家族を思わせ、まるで絵本の挿画のように幻想的で物語性に溢れた1枚絵です。

kanatakano



文字の携帯を抽象化し、組み合わせることで一つの絵を構成する「文字アート」作家のkanatakanoさん。画面の全体像は抽象的ですが、それを構成する一つひとつの要素は「文字」という具体性が凝縮されたピースです。

今回ブックカバーとなった作品(画像下)は写真で伝えるには難しいほどに、一つひとつの要素が緻密に構成され、またひらがなだけでなく漢字までもが組み合わされています。ぜひ実物をご覧の際は、じっくりと観察してみてください。

CHALKBOY率いるWHW!



働いているお店の黒板に凝ったメニューを日々描いていたら、いつの間にかそれが仕事になっていたというCHALK BOYさんが率いる手描き文字集団WHW!(What a Hand-written Wolrd!)の作品。都内の有名店舗、百貨店などの店内装飾を手掛けるなどマルチに活動しており、作品を見たことがある人も多いのではないのでしょうか。

展示作品はブックカバーというメディアを意識したデザイン性の高いもの。まるでIllustratorに実在するフォントのような完成された文字が散りばめられていますが、この文字そのものこそがWHW!の作品です。

Paper Parade Printing(守田篤史、和田由里子)



Paper Parade Printingは守田篤史(Art Director/Printing Director)と和田由里子(Artist/Printer/Type designer)の二人からなる、紙と印刷の可能性を探るクリエイティブユニット。フィジカルのメディアが苦戦している昨今、あえてその可能性を追求しつつも、遊び心のある作品が特徴的です。

こちらの作品もまさに象徴と言えるようなもの。
一見すると「たのしい」とひらがなで4文字描かれているのみですが、それを構成する一つひとつの要素に目を向けるといろいろな発見があります。ちょうど平成中期に流行ったギャル文字のように(いまでもあるんですかね?)、記号や英数字を組み合わせ、ひとつのひらがなが表現されています。

石井 嗣也



渋谷のど真ん中に佇む女性と、草木がコンクリートの地面からはい出し、車が宙を行く退廃的で近未来的な世界観が白と黒で表現された石井嗣也さんの作品。大友克洋のAKIRAを思い出します。SHIBUYA TSUTAYAのあるスクランブル交差点はまさに今回の展示にぴったりのモチーフですね。

描いている世界と、それを表現する正確な観察力と描画力は圧巻。原画作品の一部を拡大した特大ポスターが飾られていますが、これだけの大きさに伸ばしても細やかな描写は変わらず。生の原画をぜひ体感してもらいたい作品です。

板垣 晋



石井さんのお隣、板垣晋さんもSHIBUYA TSUTAYAを含む渋谷の街を描いた作品を展示。今回の「10人×10日間のBOOK COVER展」に合わせて描き下ろした新作です。

薄く霧がかったような街の様相と、その中に女性が佇んでいる風景に、まるで白昼夢を見ているかのように、そっと絵の中の世界に誘われます。女性の背にある大きな壁のような物体は女性の内的な部分と、彼女を取り巻く社会との境界線のように思えます。このモチーフは板垣さんの作品の象徴でもあります。

ご自身は森博嗣の小説を好んで読んでいるそうで、それを聞くとたしかに森博嗣の作品の世界観とこの作品はすごく相性のいい関係のように感じます。文章というインプットと絵というアウトプットは、たしかに線で結ばれるのだなぁと勝手に感心をしてしまいました。


本展示はGW最終日5/6(月)まで開催中です。
さらにこちらの展示に連動して、SHIBUYA TSUTAYA6Fの書店フロアでは、ブックカバーのポップアップも展開中。5/7(火)からは、全20作の中から書籍をお買い上げの方にランダムでブックカバーが配布されます。

もし欲しい本があれば、ぜひSHIBUYA TSUTAYAで本をお買い求めください。
欲しい本がなくても、書店員が選書したブックカバーの世界観にあう書籍が、ブックカバーとともに展示されています。これを機に読んでみてはいかがでしょうか。


==================

10人×10日間のBOOK COVER展

2019年5月1日(水) - 5月6日(月)

11:00 - 20:00 ※最終日は19:00迄

EAST 302(20組)

==================

スペース詳細はこちら>>


DFstaff isaka