2019.1.28-2019.2.3
[WEST 1-D]
「自分自身」が伝えたいこと、訴えたいこと。
自身の身体の肌感覚が醸し出すヒリヒリとした心象表現は、ちくちくと甘やかに心に刺さります。
セルフポートレイト作家2名が表現するそれぞれの心象表現とは。
卯月沙梨音さんと深沢久美さんは共にセルフポートレイトを中心に作品制作を行なっていらっしゃいます。
「ここに居ないはずの私」は写真の中に存在する「私」なのか、否か。
「役割」を担っているのは、今ここにいる「私」か、写真の中の「私」か。
セルフポートレイトでしか表現できない、自己投影の形をありのまま表現されています。
「心象風景を可視化する」作業を行なっている卯月さん。
気だるげアンニュイな表情は、寂しさや悲しさ、はたまた欲望のような印象でしょうか。
絵の具や花など、カラフルなモチーフにはどこか逆説的な用いられ方がなされており、
心の奥底を覗いてしまったかのような、そんな危うささえ感じられます。
深沢さんの作品はレースや白を基調とした空間づくりが特徴。
身体の一部に焦点を当てて撮影するなど、深沢さん個人のモノや身体のバックグラウンドを切々と映し出しているように感じます。
また、お子様を出産され、育児に翻弄する様子をセルフポートレイトとして納めた作品集は、
母として、人間として、自身の生活の在り方を再考させてくれるものでした。
今回はお二方の撮影方法をそれぞれ交換した作品も展示されています。
手法を交換することで、また互いの作品の見え方や印象が変化し、
写真における被写体の具体性がいかに意味を持っているかということがわかります。
お二人の合作は、ただそこに居るだけで寂しさを分かち合うような美しさと儚さがあり、
ひとつがふたつになる瞬間を目の当たりにしてどこか救われた気持ちになりました。
「私」とは一体なんなのか?
答えはきっとないのかもしれません。
しかし、紛れもなく今存在して居る「私」を「私」として表現することの眩しさに心を打たれた展示でした。
本展は2/3(日)まで。
卯月沙梨音:https://twitter.com/uzuki_sarine
深沢久美:https://twitter.com/kafumizawa
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[WEST 1-D]
staff kome