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hanokan+ikenaho



武蔵野美術大学油絵科4年生版画専攻
波能かなみ / hanokan
池谷奈保 / ikenaho
二人の女性作家による版画作品の展示会





<展示会場>


波能かなみさん

2013年10月にも出展頂いた波能さん
10月の展示会ではイラスト作品を展示されていましたが。

" 木を彫り、紙に写しだす "

一転、今回は銅版画/木版画の作品を展示。



「 いわざる七変化 」
銅版画

計七枚が一組となった今作品。

「見ざる、聞かざる、言わざる」
三猿がおじさんになりて、七変化、七変化します。

同じ版で刷られた七枚に、
直接、波能さんが描き込んで完成させるという作品。
(描き込み作業は展示期間中に行われている)



「 いわざる七変化 」
銅版画


一例をご覧ください。
禿げあがった頭部は、この為であったのだといわんばかりに
登頂部から顎まで、生えています。
猿を目指して。

版画作品がかもす厳格さが、
日に日に、一枚ずつ失われて行く様を
神妙な表情で眺めました。

本日確認すると、額に第三の目が誕生していました。



「 ひと 」
木版画

等身大に近い大きさで刷られた作品の一つ。
ひと と ひとじゃないもの の境界線は、
本物の肌以上に、肉感を強調しているように思う。

服もまとわず、丸裸になって、
「 ひと 」になった。

言葉と景色の中間をたゆたう。


「 ふさぐ 」
木版画

耳を塞ぐのは何故か。
騒音に耳を塞いでいるのか。

いや、知覚出来ない何かから
彼女は逃げようとしているのかもしれない。

両耳に手のひらをあてがうと、
自然と視線は水平より下がるのだけど。
その様子は、何時の皮下我が身に降り掛かる
不幸の訪れ/足音に今から脅えているようにも見える。


「 宿 」
木版画

母胎をどう捉えるか。
産まれる場所、
育つ場所、
宿される場所。

大きく膨らんだお腹や乳房は、
彼女の状態を顕著に表現する。

受け取った養分を食し、
羊水に揺られ過ごし、
いつか旅立つならば、
そうだ
この場所が「 宿 」ならば


「 停滞 」
銅版画

池谷奈保さん

外と内
外側にあるものと、内側に存在している、
感情のうねりや秘めていること、ものを題材に制作。

2012年よりDFGにてご出展頂いている池谷奈保さん。
過去の展示の様子 <1><2><3>
最後に作品を拝見した2013年8月<3>から丁度1年経過し、
多くの線の集積で構成されていた彼女の作品は、
より微細な粒子、点描にて置き換わりました。


「 つまってる 」
銅版画


おかしな骨を持った生命体は、
 元よりそういった体系なのか、
 まさかレントゲン越しなのか。

 つまってる。
 肉のクッションと歪な骨に守られて。
彼の中には沢山の大切な物がつまってる。
彼を少し離れた場所から眺めることが出来る私達は、
彼の内と外、二つを見つけることが出来た。

内があるから、外がある。
それはこの生き物だけの話じゃない。
私達も、つまってる。



「 内蔵 」
銅版画

内蔵という言葉通り、内側にある臓器が
ここでは外側に向けて開かれている。

これらの臓器の持ち主は、後方に薄らと存在している。
自身の構成物に先を越され、良い位置を奪われてしまったね。
誇るべき角も霞んでいる。

内蔵は守る目的で内側に住んでいるけども、
本当はこの作品のように、
主役であるべきなんじゃないかな、と。



「 それぞれの主張 」
ペン/アクリルガッシュ

最後にご紹介するのは、2013年8月<3>を思い出させる
小品:計3点の内の1点。
冒頭に記述した彼女の想いを、
線と塗りで形にした作品。

3Dで描きおこしたかのような角は、
内にある骨子と外面の二つを
同時に私達の頭に叩き込む。

「これはこうなんだよ」

池谷さんの作品は想いは、
怒るでもなく、諭すでもなく、
彼等が代弁してくれる。

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時間をかけてゆっくりご覧頂きたい。
時間をかければ必ず聞こえてくると思う。

DESIGN FESTA GALLERY : 1-B
8/7(木)までの公開です。

(ぱんだ)